水稲「ゆめおうみ」の施肥体系と品質変動
- [要約]
- 「ゆめおうみ」は、「日本晴」と同じ施肥体系で安定多収栽培が可能である。白米蛋白含有率6.5%以下とするためには、穂肥を出穂前25日に10a当たり窒素成分3s以下とする。穂肥増施は、良質粒率とHON値が低下する傾向がある。
滋賀県農業総合センター・農業試験場・栽培部・作物担当
[連絡先]0748-46-3081
[部会名]作物生産(育種・栽培)
[専 門]栽培
[対 象]稲類
[分 類]指導
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[背景・ねらい]
- 水稲「ゆめおうみ」は、収量性は高いが栽培条件等によって食味評価が変動し、品質の安定化が課題となっている。普及にあたり、主として穂肥の施用法が外観品質、食味関連形質に及ぼす影響を検討し、高品質安定栽培技術の確立に資する。
[成果の内容・特徴]
- 収量は、穂肥量が多くなると増加する。穂肥は出穂前25日と出穂前18日に分施しても収量差はほとんどなく出穂前25日施用の方がHON値が高い(図1、表1)。
- 穂肥の総量が多くなると、良質粒率の低下、白米蛋白含有率の上昇傾向がみられる。また、出穂前18日の穂肥分施によりHON値の低下傾向がみられる(表1、図1)。
- 穂肥量の増加による良質粒率の低下要因は、主に死米、腹白粒、未熟粒の増加による(表2)。
- 穂肥量を同一とし、最高分げつ期追肥を増施すると稈長がやや長くなるが倒伏(データ略)はみられない(表1)。
- 以上の結果、10a当たり窒素成分で基肥3s、最高分げつ期追肥3s、穂肥3sの施肥体系で、10a当たり収量600s、白米蛋白含有率6.5%以下、良質粒率80%以上を概ね満たす(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 農試本場における試験結果であるが、概ね県下の稚苗早植栽培に適用できる。
- 低温による登熟不良の年では、外観品質低下、白米蛋白含有率が上昇することがあるため、特に穂肥の適期施用と基準施肥量に留意する。
- 平成13年3月改訂の県稲作指導指針の施肥基準に反映させる。
[その他]
研究課題名:高品質米生産技術開発試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成11〜12年度)
研究担当者:鳥塚 智、吉岡ゆう、北浦裕之
発表論文等:平成12年度滋賀県農林水産主要試験研究成果
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