[課題名] H12.CGK.041

パン用小麦「ニシノカオリ」の広島県における栽培適性および製パン適性


[要約]
パン用小麦「ニシノカオリ」を広島県で栽培すると、「ナンブコムギ」、「鴻巣25号」に比べ早熟、短稈で倒伏に強く、製パン適性に優れる。
広島県立農業技術センター・作物研究部
[連絡先]0824-29-0521
[部会名]作物生産(育種・栽培)
[専  門]栽培
[対  象]麦類
[分  類]指導

[背景・ねらい]
 特産品作りをしている地域や製パン業者から地場産のパン用小麦に対する要望が高まっているなか、西日本向け初のパン用品種「ニシノカオリ」が育成された。そこで「ニシノカオリ」の栽培適性および製パン適性を明らかにするため、これまで県内でパン用として使われてきた「ナンブコムギ」、「鴻巣25号」と比較評価する。

[成果の内容・特徴]

  1. 成熟期は「ナンブコムギ」に比べて4日程度、「鴻巣25号」に比べて2日程度早い(表1)。
  2. 稈長は「ナンブコムギ」、「鴻巣25号」に比べて短く、倒伏に強い(表1)。
  3. 凍霜害は「ナンブコムギ」より多く発生し、「鴻巣25号」と同程度である(表1)。
  4. ファリノグラムの吸水率(小麦粉の吸水率を表し、値が大きいほど製パンにおいて加水量が多いことを表す)は「ナンブコムギ」より高く、1CW並である(表3)。
  5. ファリノグラムのV.V.(バロリメーターバリュー:値が大きいほど強力的である)は「ナンブコムギ」、「鴻巣25号」より高く優れる(表2表3)。
  6. 食パンの総合評価は、「ナンブコムギ」、「鴻巣25号」より優れる(表2表3)。
  7. 以上の結果、「ニシノカオリ」は、「ナンブコムギ」、「鴻巣25号」に比べ、早熟で収穫期の雨による被害を軽減しやすく、短稈で倒伏に強く、製パン適性も良好である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は前作水稲の埴壌土で得られたもので、土壌条件によっては製パン性が変動する可能性がある。
  2. 「ニシノカオリ」は茎立ちが早いので早播きをすると凍霜害を受けやすい。

[その他]
研究課題名:6次産業育成のための加工用麦類の品種選定と栽培法改善
予算区分  :県単
研究期間  :平成12年度(平成9〜11年)
研究担当者:浦野光一郎
発表論文等:パン用小麦の製パン適性の品種間差、日本作物学会中国支部研究集録、第40号、22-23、1999.

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