法尻における土壌モルタル管理道の営農的施工
- [要約]
- 法尻管理道は、田面表土にセメント及び土壌凝固剤を混和した土壌モルタルを、畦塗り機を用いて畦状に被覆することで営農的に施工できる。広幅の法面が多い棚田の管理に有効で、法面管理作業の省力・軽労化、農作業安全にもつながる。
兵庫県立中央農業技術センター・経営実験室
[連絡先] 0790-47-1117
[部会名] 作物生産(機械・施設)
[専 門] 機械
[対 象] 農業機械、雑草類
[分 類] 指導
-
[背景・ねらい]
- 畦畔草刈り作業が重労働である理由の一つとして、足場の悪い斜面に足を踏ん張りながらの姿勢を強いられることが挙げられ、作業安全面からも問題がある。そこで、営農的に施工可能な方法として、田面表層土を寄せあげた芯に土壌モルタルを被覆して管理道とする工法を法尻に試み、その適応性及び草刈り作業時の労働軽減効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 土壌モルタル被覆管理道は、既存の機械・資材を用いて営農的に施工することができる。施工は2段階に分け、第1段階では、畦塗り機(K社製偏心ドラム式畦塗り機BR750MHT)を用い、ほ場表層土を寄せ上げて管理道の芯となる部分を造成する。第2段階として、田面の芯に接して幅40cmの範囲に資材を散布し、ロータリで攪拌し土壌と混和した後、水分調節をしながら畦塗り機で土壌モルタルを被覆して仕上げる(図1)。作業時間は、管理道100m当たりで合計約6hである(表1)。
- 造成する管理道100m当たり必要資材は、セメント1,088kg(対土比12%)、土壌凝固剤54.4kg(同0.6%)である。また、造成する管理道1mあたり所要散水量は、田面の土壌が乾燥している状態でおよそ30Lであり、土を手で強く握って離したとき塊が壊れない程度が目安である(表2)。
- 安静時に対する心拍数増加率は、管理道の利用によって慣行作業方法より低下し、草刈り作業時間も短縮されるなど、法面管理作業の省力・軽労化に効果がある(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 稲株・わら・雑草など粗大有機物は、モルタルの早期劣化の恐れがあるため、少なくとも法尻から40cmの範囲内は除去する必要がある。
- 第二段階の施工は、資材を充分混合できるよう、降水が少なく乾燥が見込まれる時期を選ぶ。また、多量の散水を要するため、ほ場近辺で十分な用水を確保する必要がある。
- セメントのみで施工した場合、条件により強度不足となることが考えられるので、凝固剤を利用することが望ましい。
[その他]
研究課題名:新農村育成のための畦畔・法面の新管理技術の開発と休耕田への応用
予算区分 :国庫助成(新技術)
研究期間 :平成12年度(平成11〜13年)
研究担当者:山本晃一、米谷 正、置塩康之
発表論文等:兵庫農技センター研究報告農業編第49号(平成13年3月発行予定)
目次へ戻る