パプリカのロックウール栽培における培養液濃度と仕立て法
- [要約]
- パプリカの養液循環型ロックウール栽培の培養液濃度は、高温期の6〜10月は園試処方0.5倍(EC1.2dS/m)で、それ以外は園試処方0.75倍(EC1.8dS/m)で管理すると増収する。また抑制栽培では、側枝を2節摘心すると着果数が増え収量も増加する。
京都府農業総合研究所・野菜部
[連絡先]0771-22-6492
[部会名]野菜・花き(野菜)
[専 門]栽培
[対 象]果菜類
[分 類]普及
-
[背景・ねらい]
- 一般に培養液濃度は低温期に高く、高温期に低くするとよいと言われている。パプリカでは、園試処方0.75倍(EC1.8dS/m)を標準としているが、夏期に養液濃度を下げた場合の効果を確認する。
- また、抑制栽培において初期生育が夏期に当たるため、着果部位の高温と直射を避けるため葉数を確保する方が有利と考えられるので、仕立て法についても検討する。
[成果の内容・特徴]
- 半促成栽培では、6月以降に培養液濃度を園試処方0.75倍(EC1.8dS/m)から園試処方0.5倍(EC1.2dS/m)に下げると、濃度を固定した場合と比較して大果の収量が増加する(表1)。
- 抑制栽培では、定植時から10月下旬まで培養液濃度を園試処方0.5倍(EC1.2dS/m)に下げると、濃度を固定した場合と比較して中果が増え、小果が減少するため上果収量は増加する(表2)。
- 抑制栽培で側枝を2節で摘心すると、1節摘心と比較して小果が増えて、果数は30%増加する。そのため、平均果重はやや軽くなるものの、収量が増加する(表3)。
- 整枝はV字型主枝2本仕立てとし、3節目まで摘果する。分枝節から5節目までは、込み合うので側枝1節摘心とし、2節摘心は6節目からとする。
[成果の活用面・留意点]
- 作型に関わらず、6〜10月の栽培期間は、養液濃度をEC1.2dS/mまで下げるとよい。
- 培養液濃度を変更するときは、一度に行わず1週間毎にEC0.2dS/mずつ変える。
- 本試験の培養液管理は、施設栽培用品種で適用することができる。しかし、露地・簡易ハウス用品種はやや低濃度管理で良好な収量性を示す傾向がある。
[その他]
研究課題名:パプリカのロックウール栽培における高品質多収栽培
予算区分 :府単
研究期間 :平成12年度(平成9〜11年)
研究担当者:三村 裕
発表論文等:三村裕、パプリカのロックウール栽培における高品質多収栽培、京都府農業総合研究所試験研究成績書、野菜28-31、2000.
三村裕、パプリカの高品質多収栽培技術、施設園芸、第42巻第11号、2000.
目次へ戻る