半促成栽培におけるシシトウガラシの新誘引整枝法
- [要約]
- 12〜1月播きの半促成栽培における「紀州ししとう1号」のハウス栽培の誘引整枝法として、中央に主枝2本、外側に主枝2本を誘引する新改良主枝4本仕立て法が従来の外側4本慣行誘引法に比べて収量性が高く、作業性も良い誘引整枝法である。
和歌山県農林水産総合技術センター・農業試験場・栽培部
[連絡先]0736-64-2300
[部会名]野菜・花き(野菜)
[専 門]栽培
[対 象]果菜類
[分 類]普及
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[背景・ねらい]
- シシトウガラシは施設内で栽培すると、草勢が旺盛となり、草丈が高くなる。そのため、果実などへの日当たりや風通しが悪くなり、花落ち、障害果の発生など果実品質の低下の原因となる。また作業性も悪い。そこで、果実の着果安定、品質向上並びに省力化を狙いとした誘引整枝法を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 本誘引整枝法は主枝4本のうち2本を畝と斜め方向にV字状、同様に他の主枝2本を畝と平行にV字状に誘引する方法である。中央に誘引する主枝は、生長点が水平近くになるまで垂らした後に適宜テープで誘引紐に固定する。サイドに誘引する主枝は、中央に誘引する主枝の生長に合わせて誘引紐に固定する(図1、図2)。
- 収穫終了時の生育調査では、主枝2本誘引の場合、主枝をクリップで固定した位置から生長点まで25〜30cm程度まで垂らしながら逐次誘引する方法を行うと、草丈は平均25cm程度低く抑えられる。同様に、主枝4本誘引の場合、外側4本の慣行誘引法に比べて新改良4本仕立て法では約20cm程度低くなる。茎径は主枝2本あるいは4本の各区間では明らかな差異はない(表1)。
- 上物果及び総収量は主枝4本の場合、慣行の外側主枝4本誘引法に比べて新改良4本仕立て法が多くなる(表2)。
- 収穫時の作業性は、慣行の外側主枝4本誘引法に比べて新改良4本仕立て法は、草丈が低くなることや主枝が中央、外側と交互に誘引されているため、果実収穫がしやすい利点がある。
[成果の活用面・留意点]
- 新改良4本仕立て法の主枝4本の誘引は、草丈が80〜90cmまでは外側の支柱に誘引し、その後対角の2本の主枝はそのまま誘引を継続し、他の2本の主枝を畝の中央に張ったエスター線に誘引する。
- 新改良4本仕立て法の場合、中央及び外側に誘引する各4本の主枝は、慣行の逐次誘引する方法では生育にスピードの差異が生じる。そこで、生長が早い中央に誘引する主枝はクリップを用いて誘引紐への主枝のテープ固定を遅らせ、主枝を水平近くまで垂らしながら適宜誘引する。このため、中央に誘引する主枝はテープ止め位置から生長点まで25〜30cm、同様に、サイドに誘引する主枝は20〜25cm程度垂らした後に誘引紐に固定を繰り返す。
[その他]
研究課題名:新果菜類の育成と地域特産化
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成7年〜12年)
研究担当者:神藤 宏、藤岡唯志、松本隆男
発表論文等:今月の農業2月号、45号、80-83、2001.
和歌山県農業技術成果発表会、27-28、2000.
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