万願寺トウガラシのピートモス・活性炭培地による養液栽培における培養液濃度
- [要約]
- 「万願寺トウガラシ」をピートモス1:杉の活性炭2の混合培地に株間45cmで定植し、園試処方0.5倍液を施用すると5〜6月の収量が増加し、園試処方0.3倍液を施用すると7〜11月の収量が増加する。
京都府農業総合研究所・野菜部
[連絡先]0771-22-6492
[部会名]野菜・花き(野菜)
[専 門]栽培
[対 象]果菜類
[分 類]研究
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[背景・ねらい]
- ハウス栽培における連作障害、土壌伝染性病害を回避するためには養液栽培が効果的であるが、高度な給液管理技術を必要とすることから導入事例は少ない。そこで、給液管理の省力化と環境負荷軽減を目的として、緩衝能の高い有機質培地を用いた非循環閉鎖型養液栽培システムを開発し、これに適した培養液濃度を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 2月上旬にバーミキュライトに播種し、ピートモス:杉の活性炭=1:2とした培地を10.5cmのポットに充填して育苗し、園試処方0.5倍液(EC1.2 dS/m)を施用する。4月下旬に無加温ビニルハウス内の栽培ベットに12本/540cm(株間45cm)の密度で定植する。整枝法はV字型主枝2本仕立てにする。
- 栽培ベッドの構造は、幅30cm、深さ20cm、長さ540cmの木製の枠を設置し、枠内にポリフィルムを敷設して育苗時と同じ培地を深さ11cmまで充填し、ポリマルチで被覆する。ベッドの端に水位センサーを設置して、吸水により減少した水量をかん水チューブを通じて補給する(図1)。
- 栽培期間中は園試処方0.5倍液を施用すると株の生長を促進できる(表1)。
- 5〜6月の上果収量は園試処方0.5倍液を施用すると増加するが、7〜11月の上果収量は園試処方0.3倍液を施用する方が増加する(表2)。
- 園試処方0.5倍液を施用することにより、栽培終了時において培地内にNa+ 、K+ 、Ca2+ 、Cl- 、SO4 2- が多く残存するが、NH4 -N、NO3 -N、Mg2+ 、PO4 3- は少ない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 活性炭は価格が高いので、培地の活性炭の比率を低下させることにより費用の低減を図る必要がある。
- 混合培地は撥水性なので、定植前には十分に保水させておく必要がある。
[その他]
研究課題名:果菜類の省力、高品質生産のための軽・少量培地耕システムの開発
予算区分 :新技術
研究期間 :平成12年度(平成10〜12年)
研究担当者:寺岸明彦、鈴木茂夫、辻戸和美、田中淳夫
発表論文等:平成12年度試験研究成績報告会報告要旨、3-4、2001.
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