おとり植物を利用したカーネーションのクロウリハムシ防除法
- [要約]
- カーネーション栽培において、クロウリハムシが特に寄生しやすいDianthus pungens をおとり植物としてハウス周辺に1m間隔で植栽すると、クロウリハムシ寄生虫数と被害が減少する。
兵庫県立淡路農業技術センター・農業部
[連絡先]0799-42-4880
[部会名]野菜・花き(花き)、生産環境(病害虫)
[専 門]栽培
[対 象]カーネーション
[分 類]普及
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[背景・ねらい]
- クロウリハムシ(Aulacophora nigripennis )はカーネーションハウスへ飛来し、茎葉を食害する。農薬散布時にはハウス外へ逃れたり、地面に落下するので防除が困難な害虫である。クロウリハムシは特定のダイアンサス属植物に多く寄生することを発見したので、これらの植物をおとりとしてハウスの周囲に1m間隔で植栽することで、クロウリハムシのハウスへの侵入を防ぎ、被害を軽減する(図1)。
[成果の内容・特徴]
- カーネーション(Dianthus caryophyllus )を含む28種のダイアンサス属植物におけるクロウリハムシ寄生数は、D.pungens とD.pallens にはきわめて多く、D.acicularis など6種にはまったく認められない。鉢植えのD.pungens とカーネーション(品種ノラ)を網室で栽培すると、クロウリハムシ寄生数はD.pungens に多く、カーネーションには少ない(図2)。
- D.pungens をおとり植物としてカーネーションハウスの周辺に植栽すると、クロウリハムシはおとり植物に寄生しハウスへの侵入が減少するので、カーネーションの被害は減少する(図3、図4)。
- 生産者ハウスでは、D.pungens をハウスの周囲に1m間隔で植栽すると、無植栽ハウスと比較してカーネーションでのクロウリハムシ寄生数が減少し、被害が軽減される。
[成果の活用面・留意点]
D.pungens は宿根草で、さし芽で容易に繁殖するので、生産者自身で増殖できる。植栽後は放任で長期間生育する。
[その他]
研究課題名:耕種的・物理的害虫防除技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成10〜12年度(平成9〜13年度)
研究担当者:宇田 明、山中正仁、八瀬順也
発表論文等:クロウリハムシの寄生に対するダイアンサス属の種間差異、園学雑68(別1)、276、1999.
カーネーションを食害するクロウリハムシのおとり植物を利用した防除、園学雑69(別1)、147、2000.
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