イワダレソウの苗マット張りつけ法による既存法面の緑化
- [要約]
- 高温乾燥に強いイワダレソウをイネ育苗箱でマット状に育苗し、雑草を除草剤で枯らした既存法面に1枚/m2 の割合で張りつけると、3か月で全面を緑化することができる。
兵庫県立淡路農業技術センター・農業部
[連絡先]0799-42-4880
[部会名]野菜・花き(花き)
[専 門]栽培
[対 象]緑化植物
[分 類]普及
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[背景・ねらい]
- 畦畔の除草労力を軽減し、美しい農村景観を維持するために、近年、草花による法面緑化が試みられている。しかし、それらは基盤整備時に緑化されることが多く、すでに雑草が繁茂している既存法面で実施された事例は少ない。そこで、イワダレソウ苗マットによる省力的で、安価な既存法面緑化を実証する。
[成果の内容・特徴]
- 10種類のグラウンドカバープランツを比較したところ、夏季、高温乾燥する淡路地域の法面緑化にはイワダレソウ(Lippia canecence )が最も適している(データ省略)。
- イネ育苗箱に培土を詰め、約5cmに切ったランナーを30本ならべ、覆土をすると2か月で苗マットが完成する(図1)。苗マット張りつけ後の生育は培土で差がないが、培土単独ではマットがちぎれ作業性が劣るので、メトロミックスの下に不織布(不織布+メトロ)が最も取り扱いやすい(図4)。
- 既存法面のススキ、チガヤ、セイタカアワダチソウ等の雑草を除草剤で枯らした後、5月に苗マットを1枚/m2 の割合で張りつけると、3か月後には全面を被覆する(図2、図3、図5)。花は5月から10月上旬まで咲き続け、観賞価値が高い。
- 法面1a当たりの作業時間は、準備と張りつけが4時間、手取り除草が11.5時間の合計15.5時間である。全面被覆後の除草はほとんど不要で、2年目は刈り払い機による地上部除草のみの5.4時間で、除草労力が軽減できる(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 本種はペルー原産で、日本産イワダレソウ(L.nodiflora )とは異なる。
- 育苗資材経費はイネ育苗箱1枚当たり140円である。
- 苗マット張りつけ時にかん水するだけで、その後のかん水、施肥は不要である。
- 全面被覆後は刈り払い機による除草だけで対応できる。
- 母株をハウスで栽培すると、周年苗マットを生産できる。
[その他]
研究課題名:あわじ花回廊構想等に適した新しい緑化植物の導入と景観演出技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成9〜12年度(平成9〜13年度)
研究担当者:宇田 明、山中正仁
発表論文等:イワダレソウ苗マット張り付けによるのり面省力緑化技術、農及園76(3)、53-58、2001.
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