スターチス新品種「スイートライラック」の育成
- [要約]
- 栽培中の種子系品種「ソピア」の中から個体を選抜、組織培養によって増殖し、新品種「スイートライラック」を育成した。本品種は、明紫・淡紫 の複色、高性、多花房の早生品種で、9月上旬定植で11月上旬から収穫できる。
和歌山県農林水産総合技術センター・暖地園芸センター
[連絡先]0738-23-4005
[部会名]野菜・花き(花き)
[専 門]育種
[対 象]他の花き類
[分 類]普及
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[背景・ねらい]
- スターチス・シヌアータは、本県の主要花きの一つで、全国一の生産高を誇っている。しかし、種苗のメーカーへの依存度が高く、オリジナル品種の育成が求められている。そのため、順化後、冷房育苗だけで抽台しやすく、高性でボリュームがあり、花色の優れた品種の育成を目標とする。
[成果の内容・特徴]
- 本品種「スイートライラック」は、平成8年、栽培中の種子系品種「ソピア」の中から高性で花色および草姿が優れた個体を選抜、その後、組織培養で増殖して得られた品種である(図1)。
- 本品種は、順化後、冷房育苗した苗を9月上旬定植すると10月上旬に抽台し、11月上旬から収穫することができる(表1)。
- 本品種は、高性で草丈が 100cm以上に達し、茎が太く、分枝が長い(表2)。
- 本品種は、花房の形が整い、その大きさは「サンデーライトブルー」や「マリンブルー」に比べて大きく、花房数も主茎あたり 9.5房と多いためボリューム感がある(表3)。
- 本品種は、がくの色は周辺部で明紫 (JHS8604)、中心部で淡紫(JHS8602) の複色を示し、花色は淡緑黄(JHS2903) であり、低温下および照明下では優れた花色になる(表3)。
- 図2 [具体的データ]
[成果の活用面・留意点]
- この品種は、暖地でのハウス栽培における切り花生産に適する。
- 草勢が旺盛であるため、定植前の基肥は控える。
- この品種は、生産農家、和歌山県農業協同組合連合会、農業改良普及センターと共同で育成したものであり、品種登録申請中である。
[その他]
研究課題名:バイオテクノロジー有用技術開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成8年〜)
研究担当者:宮本芳城
発表論文等:スターチス新品種「スイートライラック」の育成、和歌山県テクノフェスティバル2000、ポスター発表、2000.
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