短日処理による秋出しトルコギキョウの開花抑制と品質向上


[要約]
平坦部の冷房育苗による秋出しトルコギキョウ栽培において、播種期に応じて短日処理を10〜30日間行うことにより、採花率を低下させずに開花抑制と品質向上が可能になる。
島根県農業試験場・園芸部・野菜花き科
[連絡先]0853-22-6650
[部会名]野菜・花き(花き)
[専  門]栽培
[対  象]トルコギキョウ
[分  類]指導

[背景・ねらい]
 平坦部における秋出しトルコギキョウ栽培(播種期5月〜6月)では苗がロゼット化するため、冷房育苗(昼温25℃、夜温15℃)後のロゼット化していない苗を定植する栽培法が普及している。しかし冷房育苗を行った場合、定植後が高温長日条件であるため、開花が早まり、切り花品質の低下を起こしやすい。そこで、季咲き作型で有効な短日処理技術を秋出し作型に適用することで、切り花品質向上と開花抑制を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 短日処理方法については、日長時間を9時間(8:30〜17:30)とし、100%遮光のシルバーポリフィルムで畝をトンネル状に被覆するか、内張りの自動開閉装置を利用してハウス全面を被覆する。
  2. 定植後に短日処理を行うことにより、無処理区に比較して、開花期が抑制され、切り花長、花らい数、切り花重等が向上する(表1)。
  3. 短日処理日数は、播種期が5月1日の場合は30日以内、5月15日では20日以内、6月1日では10日以内で切り花品質の向上と開花抑制効果が大きく、85%以上の採花率が確保できる(表1)。
  4. 定植日から短日処理開始までの日数は、期間が短いほど効果が顕著で、開花期が抑制されるとともに、切り花長、花らい数が増加し、切り花品質が向上する(表2)。
  5. ロゼット発生率は播種期が遅く、短日処理期間が長いと高くなる(表1)が、定植から短日処理開始までの期間がロゼット発生率に与える影響は明らかでなかった(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 短日処理効果には品種間差があるため、導入の際には事前に栽培品種の処理効果を検討する必要がある。
  2. 定植前2週間から短日処理終了期にかけて、ハウス全体を30〜50%遮光し、苗の活着促進とロゼット化防止を図る。

[その他]
研究課題名:トルコギキョウの秋冬出し栽培技術の確立
予算区分  :県単
研究期間  :平成12年度(平成9〜11年)
研究担当者:金森健一
発表論文等:なし

目次へ戻る