エセフォン処理した夏秋小ギクのジベレリンによる切り花長伸長法


[要約]
エセフォン処理による開花抑制効果を保ちながら、夏秋小ギクの切り花長を伸長させるためには、エセフォン処理終了日あるいはエセフォン処理終了10日後頃からジベレリン処理を行うのがよい。
岡山県農業総合センター 農業試験場・野菜・花研究室
[連絡先]08695-5-0271
[部会名]野菜・花き
[専  門]生理
[対  象]きく
[分  類]研究

[背景・ねらい]
 ほとんどの夏秋小ギク品種は、エセフォン処理によって開花が抑制でき、定植時期とエセフォン処理の組み合わせによって同一品種の継続出荷が可能である。一方、切り花長はエセフォン処理によって概ね長くなるが、エセフォン処理の有無に関わらず定植時期を遅らせると短くなる。このため、品種によっては、定植時期を遅らせてエセフォン処理を行う作型では、無処理の場合よりも切り花長は長くなるものの、十分な切り花長が得られない場合がある。このため、エセフォン処理とジベレリン処理との組み合わせによって、開花抑制効果を保ちながら切り花長を伸長させる方法を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. エセフォン200ppm液とジベレリンの50ppm液か100ppm液を、摘心日から10日おきに3回散布した場合、「ともこ」では、エセフォン単用の場合と同等の開花抑制効果を保ちながら、エセフォン単用の場合より切り花長を伸長させることができる。しかし、「千代」では、エセフォン単用に比べて開花抑制効果が低下し、葉数も減少し、切り花長も短くなる。なお、ジベレリン50ppm液を散布した場合より、ジベレリン100ppm液を散布した場合の方が、この傾向が顕著である(表1)。
  2. エセフォン200ppmを摘心日から10日おきに3回処理し、エセフォン処理終了日あるいはエセフォン処理終了10日後からジベレリン100ppm液を10日おきに3回散布した場合、「千代」、「ともこ」とも、エセフォン単用の場合と同等の開花抑制効果を保ちながら、エセフォン単用の場合より切り花長を伸長させることができる。なお、切り花長の伸長効果は、「千代」ではエセフォン処理終了10日後からのジベレリン処理で、「ともこ」ではエセフォン処理終了日からのジベレリン処理で高い(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 農薬登録におけるジベレリンの使用基準は、50〜100ppmで生育初期に10日おき2回の使用となっている。
  2. ジベレリン処理によって側枝数が減少したり、草姿が乱れるおそれがある。

[その他]
研究課題名:盆・彼岸ピッタリ出荷による高付加価値小ギク生産のための精密開花調節法の確立
予算区分  :県単
研究期間  :平成11年度(平成11〜13年)
研究担当者:森 義雄
発表論文等:夏秋小ギクの開花調節に関する研究(第2報)エセフォンとジベレリンの併用効果、園芸学会中四国支部研究発表要旨、39号、44、2000.

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