[成果情報名]

サトイモの粘りと硬さに関する評価法と品種・系統間差

[要約] サトイモの粘りと硬さに対する食感には品種・系統間差があり、粘度計値、切断面に密着させたプラスチック円盤の引っ張り抵抗、切断面におけるプランジャーの貫入抵抗および水分含有率で数値化できる。
[キーワード] サトイモ、食感、粘り、硬さ
[担当] 奈良農技セ・研究開発部・生産技術担当・野菜栽培チーム
[連絡先] 0744-22-6201、nishimoto@naranougi.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 サトイモの食味を評価する指標には粘りや硬さがあり、これらは調理適性に影響を及ぼすと考えられるが、数値化のための簡易な評価方法と品種間差の有無は明らかではない。そこで、粘りと硬さに関して食感と高い相関を示す物性を選定し、品種・系統間差の有無を検討する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. 「田原本系」(奈良県在来種)、「烏播」、「石川早生」、「セレベス」、「唐の芋」、「大野芋」、および「上庄系」(福井県大野市在来種)では、物性と食感において品種・系統間差が見られ、粘りが強いと感じられる品種・系統ほど軟らかく感じられる傾向がある(図1)。
  2. 粘りに対する食感は切断面に密着させた平滑なプラスチック円盤の引っ張り抵抗および水分含有率と、硬さに対する食感は粘度計値および切断面におけるプランジャーの貫入抵抗とそれぞれ正の相関が高く、また、粘りに対する食感は貫入抵抗と、硬さに対する食感は引っ張り抵抗および水分含有率とそれぞれ負の相関が高く、これらの物性により数値化できる(図2表1表2)。
  3. 粘りに対する食感と粘度計値との間には有意な相関が認められないため、粘度計では粘りに対する食感を測定できない(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 調理適性の品種・系統間差を調べることにより、物性が類似する品種・系統を調理適性でグループ化できる可能性がある。
  2. 物性の測定には、重量比4倍量の水で25分間煮沸後室温まで自然冷却した芋を用いる。
  3. 引っ張り抵抗と貫入抵抗の測定にはクリープメーターを用いる。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 大和野菜ブランド創出技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2003〜2004年度
研究担当者 西本登志、信岡 尚、矢奥泰章、前川寛之
発表論文等 西本ら(2004)園芸学会近畿支部大会

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