[成果情報名]

生分解性ポットを利用したイチゴの良質苗育成技術

[要約] イチゴの生分解性ポット育苗では、採苗時期を5月下旬〜6月上旬とし、灌水はポット底に吸水性不織布を敷設した底面給水方法で行うことで、慣行ポット育苗と同等の良質な苗が育成できる。
[キーワード] イチゴ、生分解性ポット、育苗、底面給水、採苗時期
[担当] 和歌山農技セ・農試・栽培部
[連絡先] 0736-64-2300、nishimori_h0001@pref.wakayama.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 イチゴの生分解性ポット育苗(以下SSP育苗とする)は、軽量で省力的な育苗方法であり、花芽分化が早いという利点があるが、培地量が少なく、苗の生育がやや劣ることから、慣行のポット育苗より収量が10%程度少ないという問題点がある。そこでSSP育苗において、慣行のポット育苗並みの収量が得られる苗を育成するための採苗時期、育苗中の灌水方法について検討する。
[ 成果の内容・特徴 ]
  1. SSP育苗での挿し苗法による採苗時期は、5月下旬から6月上旬に行うことで苗の生育が優れ、定植後の収量も慣行ポット育苗と同等に確保できる。採苗時期が6月下旬以後になると、苗の生育が劣り、収量が低下する(表1図1)。
  2. 育苗中の灌水方法は厚さ4mmの吸水性不織布を用いた底面給水方法で行うことで、慣行の頭上灌水方法よりも苗の生育が優れ、収量も多くなる(図2表2)。なお、底面給水方法での灌水回数は1日1〜2回で、余剰水は育苗トレイ内に湛水しないように排水を良好にしておく。
[成果の活用面・留意点]
  1. 挿し苗用の子苗は本葉2〜4枚とし、育苗中の苗の密度は30cm×60cmの専用トレイに15株程度が適当である。
  2. SSP育苗での施肥は5日に1回程度の間隔で液肥を施用する。なお、8月中下旬以後は灌水のみとし、花芽分化促進のための窒素中断処理を行う。
  3. 「さちのか」以外の品種では、採苗時期を再検討する必要がある。
  4. 関連する成果:平成13年度研究成果情報「分解性ポット利用によるイチゴの省力育苗法」

[具体的データ]


[その他]
研究課題名 生分解性ポット(サブストレートポット)によるイチゴの育苗技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2002〜2003年度
研究担当者 西森裕夫、東 卓弥

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