[成果情報名]

加温半促成栽培「水ナス」における高収量化のための温度管理

[要約]12月定植の「水ナス」半促成栽培において、台木「トレロ」、穂木を大阪府在来A系統の組合わせで、加温二重被覆の最低夜温を16℃で栽培管理することで、収穫開始時期が従来の無加温作型より約3週間前進し、高値時期(2〜4月)の可販果収量が2倍以上に増加する。
[キーワード]ナス、水ナス、半促成栽培、加温、台木
[担当]大阪食とみどり技セ・都市農業部・野菜園芸グループ
[連絡先]電話番号 0729-58-6551、電子メール isobe@afr.pref.osaka.jp
[区分]近畿中国四国農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 「水ナス」は低温期の樹勢が弱く、低温期の収量は極めて少ない。最近では収穫期の前進を目的とした加温栽培が普及し始めているが、低温期の水ナスに適した温度管理技術は確立されていない。また、台木品種が低温期の水ナスの生産性に大きく影響を及ぼすと考えられるが、詳細は検討されていない。そこで、収穫時期を前進させ、高品質な水ナスの安定生産を図るため、好適な台木の選定および加温条件を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 最低気温を14℃、16℃、18℃と設定して栽培した結果、14℃では可販果収量が著しく減少するため、最低気温は16℃以上が必要である(図1)。16℃と18℃では収量に差は認められないが(図2)、16℃では灯油の消費量が18℃の場合の約70%に抑えられ、収益率が上がる(表1)。
  2. 台木4品種のなかで、低温期の「水ナス」の生育は「トレロ」で優れ、可販果収量が多い(図2)。
  3. 果実品質は、台木4品種の中でトレロが優れている(表2)。最低気温16℃と18℃では外観(果色・果形)の違いはほとんどないが、18℃で管理を行った方が果皮、果肉が柔らかくなる傾向がある(表2)。
  4. 台木に「トレロ」、穂木に大阪府在来A系統を用い、加温温度を最低16℃に設定することで、収穫開始時期が慣行の12月定植無加温栽培より約3週間前進し、高値時(2〜4月)の可販果収量が2倍以上に増加する(図2)。また、果実の外観(果色・果形)も良い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 「トレロ」など草勢の強い台木では、果皮が若干硬くなる傾向がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名水ナスの加温栽培による収穫期拡大技術の開発と加工適性評価法の開発
予算区分独法受託(ブラニチ6系野菜)
研究期間2003〜2005年度
研究担当者磯部武志、鈴木敏征、森川信也、辻 博美
発表論文等鈴木ら(2004)園学研.3(2):179-182
鈴木ら(2005)園学研.4(3):303-306

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