[成果情報名]

ピーマン新品種「トサミドリ2号」

[要約] PMMoV(P1,2)抵抗性L3遺伝子をホモ接合で導入したF1品種「トサミドリ2号」を育成した。花粉親の作出に葯培養を利用したF1品種「トサミドリ2号」は、高い収量性と良好な果実形質を示す。
[キーワード]ピーマン、PMMoV(P1,2)抵抗性、促成栽培、トサミドリ2号
[担当]高知農技セ・作物園芸部・育種バイオテクノロジー科(現:育種開発部・園芸作物担当)
[連絡先]電話番号 088-863-4916、電子メール yuuko_hosomi@ken3.pref.kochi.jp
[区分]近畿中国四国農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 高知県の主要園芸品目であるピーマンでは、PMMoV(P1,2)によるモザイク病の多発が大きな問題となっており、同病に抵抗性をもつ高品質・多収性品種の育成が求められている。そこで、先に育成された抵抗性をもつ子房親に加えて、花粉親へも抵抗性遺伝子を導入することでPMMoV(P1,2)抵抗性の強化と安定化を図るとともに、果実形質を一層向上させた促成栽培に適するF1品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
  1. 「トサミドリ2号」はPMMoV抵抗性「95S-1-4」を子房親に、ベル型系統「MK18-3-1」とPMMoV抵抗性「Delgado」とを交配し、その自殖後代の葯培養系統から育成した「No.1ac4」を花粉親としたF1品種である(図1)。
  2. 促成栽培条件において、以下の特性を示す。
    1) トバモウイルス抵抗性遺伝子L3をホモに有し、PMMoV(P1,2)に対して抵抗性を示す。
    2) 第1分枝の角度はやや広く、葉の大きさはやや大きい。果面の光沢はやや強く、揃いはやや良、しわはやや少ない。果色はやや淡緑である(表1)。
    3) A品収量は「みはた2号」に比べ多く、「トサヒメR」と同等である。L品率は「トサヒメR」並である(表2)。
  3. 南国市、土佐市で行った2ヵ年間の現地試験(促成栽培)においても「トサミドリ2号」 は高い収量および品質を示す(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. トバモウイルス汚染圃場では感受性品種との混植は避ける。
  2. 最低気温28℃以上の栽培では、抵抗性反応が即時に出ず、後になってえそ症状を起こすことがある。
  3. 適応範囲は高知県内とする。粘質土壌での評価が高いことから、粘質土壌の圃場で の導入が期待できる。
  4. 2005年8月に「トサミドリ2号」と命名し品種登録申請を行った。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名ピーマンの新モザイク病抵抗性品種の育成
予算区分県単
研究期間2001〜2003年度
研究担当者松本満夫、細美祐子、新田益男、澤田博正
発表論文等品種登録出願日 2005年8月15日、品種登録出願番号 第18671号

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