[成果情報名]

クリ園の草生栽培にナギナタガヤが適する

[要約]クリ園の草生栽培として、ナギナタガヤは生育最盛期(3〜5月)の草丈が低いため園内の作業性に影響がなく、抑草期間が長いため除草労力の軽減ができる。また、毎年播種の必要がないため播種も省力化できる。
[キーワード]クリ、草生栽培、ナギナタガヤ、抑草、省力化
[担当]山口農試・栽培技術部・落葉果樹グループ
[連絡先]電話番号 083-927-0245、電子メール a17201@pref.yamaguchi.lg.jp
[区分]近畿中国四国・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 山口県のクリ産地では、高齢化や労力不足により土づくりや除草管理が農家にとって大きな負担となっているため、これらの解決に向けた技術対策が強く求められている。そこで、クリ園において土壌改良や除草の労力軽減が可能な、草生栽培に適した草種を選択する。
[成果の内容・特徴]
  1. ナギナタガヤは他の草種が6月上旬に倒伏するのに対して5月中旬に倒伏し、抑草期間が最も長い。また、草丈が供試草種の中で76cmと最も低く、園内での施肥や防除等の作業性は最も良い。乾物重は10a当たり918kg(若木クリ園)である(表1)。
  2. 土壌の固相率や腐植含有率は、ナギナタガヤ草生と雑草草生で差はみられないが(デ−タ省略)、ナギナタガヤの倒覆後の被覆効果により土壌の乾燥が抑えられるとともに、降水後の排水性が改善される(図1)。
  3. ナギナタガヤ草生は慣行に比べて除草回数および時間が約1/4に削減できる(表2)。
  4. ナギナタガヤの種苗費は他の草種に比べて3〜6倍高い(13,950円/10a:播種量3kg)。しかし、他の草種は毎年播種することが必要であるものの、ナギナタガヤは発芽能力が高いために初年度播種のみでよい(デ−タ省略)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 春から初夏にかけて養分競合の恐れがあるため、この時期に葉色の薄い樹や樹勢の弱い樹については追肥(窒素成分2kg/10a)が必要である。
  2. 単一の草生状態を維持するため、雑草は除草剤のスポット散布などで除草する。また、ナギナタガヤは草刈りを行わない。
  3. 傾斜地では倒伏後滑りやすくなるので注意する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名クリ園における省力及び環境保全型土壌管理技術の確立
予算区分単県
研究期間2002年〜2004年
研究担当者吉松英之(現山口県周南農林事務所)、明田郁夫

目次へ戻る