[成果情報名]

豚の放牧を利用した竹林の拡大抑制

[要約]春先の発筍(タケノコが地上に現れること)の時期に豚を竹林へ放牧すると、タケノコを好んで採食するため、新竹の発生を抑えることが可能である。放牧は、発筍前から発筍時期が終了するまでの期間に実施すると効果的である。
[キーワード]ブタ、放牧、タケ
[担当]山口畜試・飼養技術部・環境保全グループ
[連絡先]電話番号 0837-52-0258、電子メール a17606@pref.yamaguchi.lg.jp
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 山口県では、平成17年度から「やまぐち森林づくり県民税」を導入し、竹の伐採を含めた森林の総合的な整備を行うこととしている。竹林を放置すると、隣接する人工造林地等に侵入し、樹木を被圧することから、緊急的な伐採が必要とされている。
 新竹を抑制するためには、タケノコを駆除することが効果的である。また、豚は鼻で土を掘り起こす習性があり、豚の野生原種とされるイノシシは、タケノコを採食することが知られている。
 そこで、豚を簡易に放牧するため、電気牧柵での管理方法を検討した後、豚の放牧による竹林の拡大抑制効果について調査する。
[成果の内容・特徴]
  1. 豚の電気牧柵に対する馴致の方法としては、脱柵を防ぐため、豚房内の一画に電牧線を高さ20、40cmの二段に張り、自然に電牧線を認識させる方法が良い。
  2. 電牧線に対して馴致済みの豚がいる場合、その豚と馴致済みでない豚を1組にして馴致すると、馴致済みでない豚は電牧線を早く認識する(表1)。
  3. 発筍前の竹林に豚を放牧(表2)すると、豚が土を掘り起こし、地下茎が地表に露出するため、芽子(タケノコの芽)のほとんどが脱落する(図1)。放牧中は新竹は発生せず、放牧終了後に出てくる竹は非常に細くなる(図2)。
  4. 発筍時期の竹林に豚を放牧(表2)すると、出ているタケノコは採食され(図3)、皮や硬くなった節間部の繊維は咀嚼して吐き出される。しかし、下方の節間部の成長が終わり、タケノコから竹になると、豚は採食しない(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 放牧は、発筍前から発筍時期が終了するまでの期間に実施すると効果的である。豚はタケノコを好んで採食するため、春先の発筍の時期に竹林へ放牧すると、新竹の発生を抑えることが可能である。
  2. 期間中に疾病は発生していないが、伝染性疾病に留意した技術体系を確立する必要がある。
  3. 放牧地が泥濘化する場合には放牧面積を拡大するなど、環境保全面について留意する必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名豚の効率的な飼養管理技術
予算区分県単
研究期間2001〜2004年度
研究担当者大賀友英、福倉一浩

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