[成果情報名]

代用乳追加給与による黒毛和種子牛の発育改善技術

[要約]黒毛和種子牛において生後1週間の体重増加量から哺乳量を推定し、平均的な初期発育に必要な哺乳量に達していないものに対して、1週齢〜8週齢まで自然哺乳をさせながら不足分の代用乳給与を行うことにより、その後の著しい発育改善効果が得られる。
[キーワード]黒毛和種、子牛、哺乳量、代用乳、発育改善
[担当]兵庫農総セ・北部・畜産部
[連絡先]電話番号 079-674-1230、電子メール Masanobu_Noda@pref.hyogo.jp
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 繁殖雌牛では産肉能力だけでなく繁殖性や哺育性も優れていることが重要である。哺育能力の主体は哺乳量であり、哺乳量の多い子牛は初期発育が優れ、育成期全般にわたって良好な発育が期待できるが、哺乳量が少ない場合は代用乳の追加給与が必要である。1週齢の子牛であれば哺乳ビンでの給与が容易であるが、週齢が進むと給与が困難となる。1日当たり最高哺乳量(Y)と子牛の生後1週間の体重増加量(X)との関係は(Y)kg=0.47(X)kg+2.9kg(雄子牛)、(Y)kg=0.7(X)kg+1.76kg(雌子牛)で推定できる(成果情報2004)。そこで生後1週間の体重増加量が少ない子牛に対して、自然哺乳をさせながら代用乳追加給与を行い、子牛の発育改善効果を実証する。
[成果の内容・特徴]
  1. 生後1週間の体重増加量が3kg未満の子牛22頭(雄12頭、雌10頭)を対象に、推定式  により1日当たり哺乳量を算出する。平均的な発育に必要な1日当たり最高哺乳量を雄子牛で概ね5.9kg、雌子牛で5.5kgとして不足分の代用乳給与量を決定し、市販の代用乳粉末を6倍の温湯に溶かしたものを1週齢から8週齢まで1日1回又は2回に分けて給与する。
  2. 生時体重が小さい子牛は生後1週間の体重増加量も小さい傾向にある。生後1週間の 体重増加量が3kg未満の低哺乳量の子牛23頭(雄9頭、雌14頭)を放置しておくと、哺育初期だけでなく育成期全般にわたり体重の伸びが悪く、32週齢でも1日当たり増体量が雄0.70kg、雌0.61kgで、平均的な発育よりも悪くなる(図12表1)。
  3. 哺乳量不足の子牛に対して1週齢から代用乳を追加給与すると、4週齢までの1日当 たり増体量が雄雌ともに0.62kgとなり、その後の発育が著しく改善され、32週齢では平均的な発育が得られる(表1)。
[成果の活用面・留意点]
黒毛和種繁殖農家においては個体ごとの推定哺乳量を計算するのは手間がかかることから、個体ごとの代用乳給与量は早見表(表2)を利用して対処するのが効率的である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名繁殖雌牛の哺育能力の早期判定法の確立と実証
課題ID 
予算区分県単
研究期間2003〜2005年度
研究担当者野田昌伸、坂瀬充洋、福島護之

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