[成果情報名]

牛枝肉の肉色はミオグロビン含量とpH値により変動する

[要約]牛枝肉の肉色は、牛肉のミオグロビン含量が高いほど濃く、pHが高いほど暗くなる。牛肉のミオグロビン含量は屠畜月齢が増すとともに増加し、品種毎の平均値は去勢牛より雌牛の方が高い。牛肉のpHには、品種、性別による差は認められない。
[キーワード]牛肉、品質評価、肉色、ミオグロビン、pH、屠畜月齢
[担当]広島畜技セ・飼養技術部
[連絡先]電話番号 0824-74-0331、電子メール cgckikaku@pref.hiroshima.jp
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、販売形態の主流が精肉パックとなり、消費者は鮮やかで明るい肉色を好むことから、販売場面での肉色は牛肉の品質を評価するうえで重要な要素となっている。消費者ニーズに対応した牛肉の生産、流通を支援するためには、肉色向上のための技術開発が必要である。
 そこで、牛肉の生産現場における肉色変動要因を明らかにするため、牛肉中のミオグロビン含量及びと畜後1日目の牛肉pHが肉色に及ぼす影響の実態を調べる。
[成果の内容・特徴]
  1. 黒毛和種牛肉のミオグロビン含量は、無脂原物1gあたり5〜10mgと個体差が大きい。
  2. ミオグロビン含量は、日本食肉格付協会の牛肉色基準値(BCS)が高いものほど多い(図1)。
  3. 品種毎の牛肉中ミオグロビン含量平均値は、黒毛和種、交雑種、ホルスタイン種の順に多く、いずれの品種においても去勢牛より雌牛の方が多い(図2)。
  4. ミオグロビン含量は屠畜月齢が増すとともに増加し、その関係は品種の別に関わらず、去勢牛、雌牛それぞれに対する共通の関係式で表すことができる。ミオグロビン含量の増加量は、去勢牛で0.15mg/月、雌牛で0.14mg/月である(図3)。
  5. 調査した黒毛和種牛肉のpHは全て、pH5.8以下の正常範囲内に分布している。
  6. pH正常範囲内においても、よりpHの低い牛肉の肉色が良い(図4)。
  7. 牛肉pHには、品種、性別による差が無く、屠畜月齢の影響も受けない。
[成果の活用面・留意点]
本成果を活用し、牛肉のミオグロビン含量及び牛肉pHの改善を軸とした、牛枝肉の肉色改善技術の開発を行う。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名広島牛の肉色向上技術の開発
予算区分県単
研究期間2003〜2006年度
研究担当者河野幸雄、長尾かおり

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