[成果情報名]

ダチョウの初期育成技術の改善

[要約]初期育成に、改良型電気ブルーダーとヒーターマットによる保温が有効である。グリット給与により体重の増加および育成率が改善する。成鶏用配合飼料を給与してもダチョウ用配合飼料と同等に発育する。30日齢以降緑餌の給与は必要ない。
[キーワード]ダチョウ、初期育成、改良型電気ブルーダー、グリット、配合飼料、緑餌
[担当]愛媛鶏試・研究指導室
[連絡先]電話番号 0898-66-5004、電子メール yokei-shiken@pref.ehime.jp
[区分]近畿中国四国・畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ダチョウ肉はヘルシーで卵・皮・羽なども利用価値が高く、第四の家畜として注目を集めている。しかし、国内では飼養が始まったばかりで、人工孵化技術および初期育成技術が確立されておらず、農家が試行錯誤の状態にある。特に、育成率は20〜30%と極めて低く、経営に大きな打撃を与えている。そこで、飼育環境条件、給与飼料、グリットによる育成率の改善を試みた。
[成果の内容・特徴]
  1. 育成初期の環境は、床面積3.6m×3mに5羽収容し、室内はエアコンの25℃での除湿を行う。電気ブルーダーに円形の傘をつけた改良型電気ブルーダー(500W)とヒーターマット(180W)で保温すると、写真1の環境温度になり、発育がよくなる傾向にある。(図1表1
  2. グリット(園芸用小石φ5mm)を、30日齢から60日齢まで1羽当たり約300g給与すると、発育がよい傾向にある。(表2
  3. 成鶏用配合飼料は、ダチョウ用配合飼料と同等に発育する傾向にある。(表3
  4. 30日齢以降の緑餌給与は、60日齢まで同等に発育し事故もないことから、30日齢以降の緑餌給与は必要ない。(表4
[成果の活用面・留意点]
  1. 25℃の環境でヒーターマットのみでは十分な温度が得られないので、環境温度に注意する。
  2. 7日齢で体重が初生時より15%以上減少したら、強制的に1日2回練り餌を数日間経口投与し体力の回復を図る。
  3. グリットを給与しないと飼料摂取量、飲水量が増加し排尿を頻繁に繰り返すことで床面が不衛生となるだけでなく、滑りやすく事故等の発生する恐れがある。
  4. 成鶏用配合飼料での飼養は死亡原因となると言われているが、これは飼料が問題ではなく餌付け時の環境条件に問題があったと示唆される。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名ダチョウの飼育技術開発試験
予算区分県単
研究期間2000〜2004年度
研究担当者真鍋フミカ、高橋敏方、土岐静夫、難波江祐介、和田 貢
発表論文等1)高橋(2001)愛媛鶏試研報27:22-25
2)高橋、真鍋(2004)第4回日本ダチョウ・走鳥類研究会講演
3)真鍋(2004)特用家畜シンポジウム「資源循環型社会と特用家畜」講演要旨

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