[成果情報名]

溶接金網とネットを併用したニホンジカ侵入防止簡易物理柵

[要約]  溶接金網と動物侵入防止ネットを併用した簡易物理柵は、ニホンジカに対する侵入防止効果が高い。
[キーワード] ニホンジカ、溶接金網、ネット、物理柵
[担当] 滋賀農技セ・栽培研究部・花き果樹分場・果樹担当
[連絡先] 電話077-558-0221 電子メールgc58@pref.shiga.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(鳥獣害)
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 滋賀県のニホンジカによる農作物被害発生地域では、容易に設置ができるネット式の簡易物理柵が 施工されているが、十分な防除効果をあげていない事例が見受けられる。また、ニホンジカによる 被害発生地域では、イノシシの被害も発生する地域が多い。
 そこで、既にイノシシに対する侵入防止効果が実証されている溶接金網を利用し、溶接金網と動物侵入防止 ネットを併用した簡易物理柵(以下、溶接金網+ネット柵)のニホンジカに対する侵入防止効果について 検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 溶接金網+ネット柵は、1.8m間隔に打ち込まれた支柱にナマシ鉄線で溶接金網(2m×1m、10cm角)を 固定し、その上部に動物侵入防止ネット(1m幅、目合い16mmまたは20×25mm、ポリエチレン製)を 結束バンドで連結させた構造で、地面からの高さは1.8mとする(図1)。
  2. 溶接金網+ネット柵は、ニホンジカの侵入防止効果が高く、農作物被害防止効果も高い (表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本柵の下部にはイノシシの侵入防止効果が実証されている溶接金網を利用していることから、 ニホンジカとイノシシが発生する地域で活用できる。
  2. 本柵の施工にあたっては、イノシシの潜り込みを防ぐために溶接金網を約5cmほど地中に埋め込む。 動物侵入防止ネットは、溶接金網の外側に垂らしてネットの裾を結束バンドで溶接金網に固定し、 ニホンジカの鼻先が入らないよう隙間をなくす。
  3. 本柵は地際が鉄製であることから、ネット式物理柵で懸念されるニホンジカの潜り込みや草刈り機 による破損がなくなるとともに、電気柵に比べ除草の回数を減らすことができる。
  4. 設置にかかる資材費は、1m当たり600円〜1,100円を要するが、支柱にハウス等の廃材を利用すれば、 400円〜800円に節減でき、市販のシカ用金網フェンス柵約1,300円および電気柵500円〜900円に比べ、 比較的安価に施工できる。設置後は動物侵入防止ネットのみ3年に1回張り替えるとすると、 その維持経費は1m当たり年間30円〜50円程度である。
  5. 本柵は、傾斜地や農耕地につながる林縁部など、地形に応じてネットの幅を長くして柵を高くしたり、 支柱の間隔を狭くし、防除効果を高める工夫が必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 シカによる農作物被害回避確立試験
予算区分 県単
研究期間 2004〜2006年
研究担当者 小嶋俊英、高畑正人

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