[成果情報名]

クリ果実の温湯処理によるクリ炭疽病防除

[要約]  収穫後の果実に発生する重要病害であるクリ炭疽病に対して、果実を50℃− 30分間 温湯浸漬した後、 流水で冷却・脱水すると防除効果が高い。
[キーワード] クリ、炭疽病、温湯処理
[担当] 兵庫農総セ・農技・病害虫防除部(淡路農技・農業部)
[連絡先] 電話 0799-42-4882、電子メールshinji_nishiguchi@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 クリ炭疽病は、収穫後の果実に発生する病害で多発すると10%以上の腐敗果が発生することがある。 しかし、収穫後に使用できる登録農薬はなく、その防除対策に苦慮している。そこで、クリシギゾウムシ対策に 臭化メチル代替技術として開発された温湯処理に着目し収穫後の対策としてクリ炭疽病に対する防除効果に ついて検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. T社製温湯処理機(YS-500HC改造型、容量500L)を使用して49〜50℃の温湯に 30分以上浸漬した後、 流水で5分間冷却し、5分間脱水すると、浸漬した果実のクリ炭疽病発病果率は0%で高い効果が認められる (図1)。
  2. 多発条件下においても、49.5℃以上の温湯に30分以上浸漬した後、流水で15分間冷却し5分間脱水 すると、クリ炭疽病発病果率は0%で高い効果が認められる(図2)。
  3. 本処理法は、従来の臭化メチル処理と比べ、品質、食味とも変化なく良好である (平成17年度近中四成果情報:63-64)。
  4. 以上の結果より、クリ収穫果を温湯浸漬し、50℃を30分維持した後、水で冷やすとクリ炭疽病に 対する実用性が高い。
[成果の活用面・留意点]
  1. T社製温湯処理機(YS-500HC改造型、容量500L)を利用すると、100kgのクリを正確に50℃で 処理することが可能である。
  2. 既に発病した果実には効果が劣るので、処理前に果実を厳選する。
  3. 収穫後も病勢は進展するので、収穫後できるだけ早く処理する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 温湯消毒によるクリ果実病害虫防除技術の確立
予算区分 国庫
研究期間 2003〜2005年
研究担当者 西口真嗣、廣瀬敏晴、二井清友
発表論文等 特願2007-15(温湯処理によるクリ果実の病害防除方法)

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