[成果情報名]

太陽熱を利用した二重被覆による育苗ポット土壌の消毒

[要約]  育苗用土を入れた3号ポリポットを播種箱に並べて透明ビニルで全体を包み、小型ビニルトンネル内に 密閉すると、6〜9月の晴天日には最高地温が60℃以上になり、晴天日1日の処理で苗立枯病菌、根こぶ病菌、 イチゴ萎黄病菌の不活化が見られる。
[キーワード] 育苗用土、土壌消毒、太陽熱処理、二重被覆
[担当] 和歌山農林水技セ・農試・環境部
[連絡先] 電話0736-64-2300、電子メールyoshimoto_h0002@pref.wakayama.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 育苗用土の消毒には蒸気消毒や薬剤消毒が実施されている。蒸気消毒は経費と労力を要し、薬剤消毒は 農薬登録の制約があり、処理効果の安定や安全使用には熟練が必要である。育苗経費や労力を削減し、 安全で環境に優しく、簡易に実施できる方法として、太陽熱を利用した育苗用土の消毒方法を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 市販粒状用土を入れた3号黒ポリポット24ポット(合計土量8リットル)を32×52cmの播種箱に 並べてかん水し、厚さ0.01mm透明ビニルで全体を包み、中央の高さ30cm、1.2×3mの透明ビニルで 作成した小型トンネルに密閉する(写真1)と、6〜9月の晴天日には 最高地温が60℃以上になる(表1)。
  2. ハクサイ根こぶ病発病土壌およびイチゴ萎黄病菌接種土壌を3号ポットに充填し、上記の方法で 処理すると、最高地温が60℃以上になる1日処理でアブラナ科根こぶ病菌、Pythium苗立枯病菌、 イチゴ萎黄病菌の不活化が見られる(表1)。
  3. 同播種箱に市販粒状用土を深さ8cm、12リットル入れて二重被覆処理をおこなうと、6月から8月の 晴天日の最高地温は60℃以上となる(図1)が、3号ポリポットでの 本処理はさらに最高地温が3〜8℃高くなる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 二重被覆処理前に飽和容水量以上のかん水をおこない、ビニルで包んだ播種箱と地面の間に板等の 断熱資材を敷くか廃材等で断熱空間を設ける。
  2. 処理開始日や曇雨天日の翌日は連続した晴天日の翌日より地温は低くなる。
  3. 6〜8月の夏期処理では、晴天日には十分な消毒効果が期待できるが、5月や9月処理では 最高・最低温度計等で地温を確認する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 太陽熱利用土壌消毒のパワーアップ技術
予算区分 県単(戦略プラン)
研究期間 2004〜2006年
研究担当者 吉本 均、増田吉彦

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