[成果情報名]

ショウガの貯蔵害虫チビクロバネキノコバエの防除対策

[要約]  チビクロバネキノコバエBradysia agrestis Sasakawaが貯蔵中の種子用ショウガ根茎を 加害することを初めて確認し、貯蔵前に20℃で48時間または25℃で24時間、濃度95 %以上の二酸化炭素で くん蒸処理することにより発生が抑えられる。
[キーワード] ショウガ、チビクロバネキノコバエ、貯蔵害虫、二酸化炭素、くん蒸
[担当] 和歌山農林水技セ・農試・環境部
[連絡先] 電話0736-64-2300、電子メールkoyama_m0011@pref.wakayama.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 ショウガ産地では、貯蔵中の種子用ショウガ根茎が双翅目幼虫に加害され、被害が大きい。そこで、 加害種を明らかにするとともに、省力的で安全な防除対策を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 和歌山市明王寺で貯蔵中の種子用ショウガ根茎を加害する害虫は、チビクロバネキノコバエ Bradysia agrestis Sasakawaが94.4%を占める(表1)。 本種のショウガ加害記録はこれまでない。ショウガを餌にすると慣行貯蔵温度(15℃)では 1世代49〜72日を要する。
  2. キノコバエ幼虫が寄生したショウガをポリタンクに入れ、二酸化炭素(有効成分量99.9%)濃度を 95%以上に置換し、20℃で48時間または25℃で24時間くん蒸処理することにより、羽化成虫数は、 いずれも無処理の13%程度に抑制される(図1)。
  3. 二酸化炭素くん蒸処理によるショウガ根茎の変質は、20℃48時間、25℃24時間では認められない。 一方、20℃及び25℃72時間では、処理直後から萌芽部が軟化、壊死し、その後腐敗する症状が認められる (表2)。
  4. 二酸化炭素くん蒸処理した種子用ショウガを定植しても、欠株は認められない。また、シュート数、 シュート長等、生育に悪影響はなく、収穫時重量も無処理と有意差は認められない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 天幕または倉庫を使用した二酸化炭素くん蒸(20℃48時間、25℃24時間)処理は、農薬登録申請中で ある。
  2. 処理温度20℃未満では殺虫効果が劣るので、天幕または倉庫内を加温機で暖めて温度を維持する。
  3. 二酸化炭素ガス(有効成分量99.9%)を体内に吸入すると、酸素欠乏を起こし、頭痛、呼吸困難、 窒息等の症状が現れることがあるので注意する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 貯蔵中の種子ショウガを加害するキノコバエの発生生態と防除対策
予算区分 生産安定のための病害虫緊急防除対策
研究期間 2003〜2007年
研究担当者 小山昌志、岡本 崇、井口雅裕、吉本 均

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