[成果情報名]

ブドウのチャノキイロアザミウマに対するネオニコチノイド系剤の薬剤感受性低下

[要約]  ブドウに発生するチャノキイロアザミウマに対してイミダクロプリド剤を多用して防除した圃場では、 ネオニコチノイド系剤に感受性が低下した個体群が認められる。
[キーワード] ブドウ、チャノキイロアザミウマ、薬剤感受性、ネオニコチノイド剤
[担当] 岡山農総セ・農試・病虫研究室
[連絡先] 電話086-955-0543、電子メールtoshihiro_sano@pref.okayama.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、施設ブドウを中心にチャノキイロアザミウマによる果実被害が多く、品質低下の大きな原因と なっている。被害が増加した原因の一つとして、主要な薬剤の効果が低下していることが考えられたため、 薬剤感受性検定を行い、対策指導上の参考資料とする。
[成果の内容・特徴]
  1. 有機リン系剤、ネライストキシン剤、合成ピレスロイド系剤、ピロール系剤の計7薬剤では、 チャノキイロアザミウマの補正死虫率はA個体群で90〜100%、B個体群で100%といずれも高い (表1)。
  2. ネオニコチノイド系剤では、B個体群で補正死虫率が80〜100%とおおむね高い。一方、A個体群の 補正死虫率はニテンピラムを除く6薬剤で60%以下と低い(表1)。
  3. A個体群が得られた圃場では、イミダクロプリド(ネオニコチノイド系剤)が数年にわたり本種の 防除に多用されている。一方、B個体群が得られた圃場では、主にトラロメトリン、クロルフェナピルが 本種の防除に使用されており、ネオニコチノイド系剤の使用頻度は低い。
  4. A個体群の場合、圃場での使用実績がないチアメトキサム、チアクロプリドでも補正死虫率 著しく低下している(表1)。

 以上の結果、ブドウに発生するチャノキイロアザミウマに対してイミダクロプリド剤を多用して防除した 圃場では、ネオニコチノイド系剤に感受性が低下した個体群が認められる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 薬剤散布後(3〜7日後)に効果を確認し、感受性低下の有無を判断する。
  2. A個体群が得られた圃場では、天敵農薬が使用され、天敵に影響の少ない剤としてイミダクロプリドが 連用されている。同一薬剤の連用は避け、ローテーション防除に努める。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 果樹主要病害虫の効率的防除薬剤の実用化試験
予算区分 県単
研究期間 2005年
研究担当者 佐野敏広

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