[成果情報名]

ユズにおけるカンキツ幹腐病の感染時期と薬剤防除

[要約]  ユズに発生するカンキツ幹腐病の主要感染時期は、6〜7月である。防除薬剤は発芽前は銅水和剤、 石灰硫黄合剤、生育期は有機銅水和剤、マンゼブ水和剤が高い防除効果がある。5月下旬、6月下旬、 7月中旬の3回散布で実用的な防除効果がある。
[キーワード] カンキツ、ユズ、カンキツ幹腐病、防除方法
[担当] 徳島農総技支セ・果樹研・病害虫担当
[連絡先] 電話:08854-2-2545 メール:kajukenkyuusyo@pref.tokushima.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)、果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 カンキツ幹腐病は、徳島県のユズの主産地である那賀川上流の多雨地域で発生が多く認められ、 枝幹部がすり鉢状または溝状にくぼみ、木質部まで腐る。このため、果実の重みや風によって枝が れやすくなり、症状がさらに進むと枯死に至るなど、栽培上大きな障害となっている。そこで、 これまで明確になっていなかったカンキツ幹腐病の感染時期を明らかにするとともに、薬剤の防除効果と その散布時期・回数を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. カンキツ幹腐病の子のう胞子は主に5月上旬〜10月中旬まで飛散する。飛散量は梅雨期に多く、 降水量の多い年は8〜10月にも多い(データ省略)。
  2. ユズへの感染は5〜10月でみられ、特に6、7月に多い(表1)。
  3. 未発生地で育苗することで育苗時の感染を防止できる(データ省略)。
  4. 発芽前の散布剤として、銅(塩基性硫酸銅28.1%)水和剤50倍と石灰硫黄合剤30倍に、 生育期の散布剤として、有機銅(80%)水和剤800倍とマンゼブ水和剤600倍に防除効果が認められる (表2)。
  5. 有効な薬剤を5月下旬と6月下旬、7月中旬の計3回散布することで、実用的な防除効果が 期待できる(表3)。
  6. 発病樹の病患部を削り取り、有機銅塗布剤を処理することで治療効果が認められる。 チオファネートメチルペーストでの効果はやや劣る(データ省略)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 薬剤散布は、枝幹部にも十分薬剤がかかるように散布すること。
  2. 苗木感染を防ぐため未発生地での育苗を行う。
  3. 2007年2月現在、カンキツ幹腐病に登録があるのは、塗布剤のバッチレート(有機銅塗布剤)原液、 トップジンMペースト(チオファネートメチルペースト)原液、散布剤のキノンドー水和剤80 (有機銅(80%)水和剤)800倍、オキシンドー水和剤80(有機銅(80%)水和剤)800倍、 ICボルドー66D(塩基性硫酸銅28.1%水和剤)2倍(局所散布)・50倍、ベルクートフロアブル (イミノクタジンアルベシル酸塩フロアブル)1000倍である。
  4. 2007年2月現在、本試験で用いたジマンダイセン水和剤(マンゼブ水和剤)600倍、ベンレート水和剤 (ベノミル水和剤)2000倍、ベフラン液剤25(イミノクタジン酢酸塩液剤)2000倍、 トップジンM水和剤(チオファネートメチル水和剤)2000倍、石灰硫黄合剤30倍は黒点病、そうか病、 かいよう病、貯蔵病害等、他の病害でユズに登録がある。
  5. 薬剤散布時期において本試験結果は一つの目安であり、その年の気象条件や降雨量の違いによる 胞子飛散の時期や薬剤の残効の変化を考慮することも必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 ユズにおける幹腐病の発生生態の解明と防除対策の確立
予算区分 県単
研究期間 1999〜2005年
研究担当者 犬伏要輔・辻 雅人・貞野光弘・河野由希・中西友章・津村哲宏

目次へ戻る