[成果情報名]

露地キュウリ栽培終了期におけるメロン黄化えそウイルス媒介虫の保毒率推移

[要約]  キュウリ黄化えそ病発生露地栽培圃場では、秋口に株元を切断して強制的に枯死させたほうが、 株を自然枯死させるよりも媒介虫(ミナミキイロアザミウマ)の密度およびメロン黄化えそウイルス(MYSV) 保毒率が早期に低下する。
[キーワード] キュウリ黄化えそ病、メロン黄化えそウイルス、媒介虫、保毒率
[担当] 愛媛県農業試験場・生産環境室
[連絡先] 電話089-993-2020、電子メールkusumoto-satoko@pref.ehime.jp
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
 キュウリ黄化えそ病は、ミナミキイロアザミウマによって媒介されるウイルス病であり、ウイルスを 対象とした防除法がない現状では媒介虫防除が対策の主となっている。そして、効率的な防除のためには、 保毒媒介虫の発生実態について把握することが必要である。そこで、露地キュウリ栽培終了時の株の放置 および株の強制枯死が、媒介虫の密度およびMYSV保毒率に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. キュウリ株元を切断した圃場では、切断から約1ヶ月で設置したポット植えキュウリへの ミナミキイロアザミウマ寄生数およびMYSV保毒率が低下する(図1,2)。
  2. 株を自然枯死させた圃場では、圃場内の株が枯死するまで設置したポット植えキュウリへの ミナミキイロアザミウマ寄生数およびMYSV保毒率の高い状態が維持される (図1,2)。
  3. 自然枯死圃場では、10月中下旬にミナミキイロアザミウマ密度、MYSV保毒率がピークとなるが、 株元切断圃場ではその時期には低下している(図1,2)。 また、自然枯死圃場では11月上旬まで発病ポテンシャルを維持している(表1)。
  4. 同地域における施設栽培キュウリの定植時期は10月中下旬であることから、露地栽培から 施設栽培への伝染環を遮断し、本病の伝染を防ぐには、株元切断処理が有効であると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 露地栽培における株元切断は、媒介虫を圃場外へ分散させることから同一地域全体で取り組むことが 重要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 キュウリ黄化えそ病発生地域における被害拡大原因の解明と防除技術の確立
予算区分 国補(植物防疫)
研究期間 2003〜2005
研究担当者 楠元智子、崎山進二、窪田聖一、村上要三、奈尾雅浩

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