[成果情報名]

小型のロックウール連結ブロックを利用したトマトの効率的育苗技術

[要約]  4cm角のロックウール連結ブロックに直播し、発芽後は高濃度培養液で管理することにより、 育苗中の徒長が防止でき、本葉4〜5枚のトマト苗を1m2当たり300〜400本育苗することができる。 また、定植後の生育にも問題が見られない。
[キーワード] ロックウール連結ブロック、直播、トマト苗、高濃度培養液、徒長防止
[担当] 京都農総研・野菜部
[連絡先] 電話0771-22-6492、電子メールt-kashimoto43@pref.kyoto.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 トマトの低段密植栽培では周年的に大量の苗を必要とすることから、効率的な育苗技術が不可欠で ある。そのため育苗中の徒長を防止し、省スペースで省力的に育苗できる技術として、小型の ロックウール連結ブロックに直播する育苗法を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. ロックウールブロックに直播する育苗は、播種床(バーミキュライト)からロックウールブロックに 移植する育苗に比べて生育が早く、1月上旬播種は6週間、7月下旬播種は3週間で本葉4枚の苗になる (表1)。
  2. 4cm角のロックウール連結ブロックを用いると、本葉4〜5枚の苗を1m2当たり 300〜400本育てることが可能であるが、通常の養水分管理では徒長しやすい。
  3. 苗の徒長防止には、子葉展開後から高濃度(EC7.2〜9.6dS/m)の園試処方培養液を底面給液して 育苗することが有効で、草丈の伸長を抑制する (表2図1)。
  4. 高濃度培養液による育苗では、培養液濃度が高くなるほど苗の生育が遅れる傾向にあり、 EC1.2dS/mで育苗したものに比べ、収穫始めが2〜4日遅れるが、乱形果、チャック果の発生には差がなく、 収量は同等以上になる(表2図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果はロックウール耕の低段密植栽培で適用できる。
  2. 育成できる苗の大きさはロックウールブロックのサイズにより異なり、4cm角の連結ブロック (水稲用育苗箱当たり84ブロックを配置)では本葉が5枚以上になると苗が混みあうようになり、苗質や 定植作業性が低下するので本葉4〜5枚までの育苗とする。
  3. 高濃度培養液はブロックが飽水状態になるまで、1日1回の底面給液を基準とするが、低温期 (12〜2月)や育苗初期(本葉2枚期まで)はブロックの乾燥程度に応じ、2〜4日に1回の給液で 良い。
  4. 高濃度培養液による育苗では苗の生育遅れから収穫始めが遅れる傾向にあり、播種を早めて 育苗する必要がある。
  5. 育苗に必要な資材費(ロックウールブロック、肥料)は、成苗率が90%の場合で9.8円/本になる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 ロックウール耕トマトの低段栽培による周年生産技術の確立
予算区分 府単
研究期間 2004〜2006年
研究担当者 樫本紀博

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