[成果情報名]

冬季の雨よけハウスを活用した良食味ホウレンソウ栽培技術

[要約]  標高300〜400mの中山間地域において、雨よけハウス内で‘アップライト’を10月20〜25日に播種する ことにより、厳寒期に糖度が高く、食味の良いホウレンソウが生産できる。
[キーワード] ホウレンソウ、雨よけハウス、中山間、食味
[担当] 奈良県農業総合センター・高原農業振興センター・営農技術チ−ム
[連絡先] 電話0745-82-2340、電子メールkiya@naranougi.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 本県東部中山間地域の特産物であるホウレンソウの消費を拡大させるには、食味が良く栄養価の 高い生産物を消費者に供給していくことが必要である。一般に軟弱野菜を寒さに遭遇させると食味が 良くなることは知られているが、露地栽培では草姿が開帳になりやすく、葉面が土で汚れる。そこで、 冬の寒い外気が十分に入り、降雨による品質低下が少ない雨よけハウスを用いた良食味ホウレンソウ 栽培技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 雨よけハウス内で10月20〜25日に播種することにより、12月下旬から2月中旬に糖度が概ね10%以上の 良食味ホウレンソウが収穫できる(図1)。収穫期のハウス内 平均気温は概ね4℃以下である。
  2. 品種は草姿が最も立性であり、収穫作業が行いやすい‘アップライト’が適している (表1)。
  3. 雨よけハウス栽培では総糖含量が密閉ハウス栽培よりも高く、糖組成ではスクロース含量が増加する (図2)。アスコルビン酸含量も雨よけハウス栽培が密閉ハウス 栽培より高くなる(図3)。
  4. 官能検査による外観および甘さの評価は雨よけハウス栽培が密閉ハウス栽培より高く、収量も 雨よけハウス栽培(1.67t/10a)が密閉ハウス栽培(1.43t/10a)より高い。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は奈良県東部中山間地域と同様な気象条件の地域で適応可能である。
  2. 収穫前10日以降の液肥の施用やかん水は糖度を下げるので控える。
  3. 播種が遅れると生育が遅れ、収穫期の気温が高い時期となって糖度が低下するので播種期を遅らさない。
  4. 品種の拡大については検討中である。
  5. 密閉ハウス栽培よりも生育期間が30日程度長くなる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 中山間地域対応技術開発
予算区分 県単
研究期間 2003〜2005年
研究担当者 木矢博之・中野智彦
発表論文等 木矢ら(2005)奈良農技研報36:13-20

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