[成果情報名]

在来「毛馬」キュウリの苦み果発現に及ぼす接ぎ木、肥料の影響

[要約]  在来「毛馬」キュウリの果実の苦み発現は、果梗部に近い果実上部が中部、下部に比べ強く、果皮や 果肉部に発現する場合がある。苦みには系統間差があり、「新土佐」への接ぎ木で軽減されるが、化成肥料と 有機質肥料間には差がない。
[キーワード] キュウリ、毛馬、果実の苦み、接ぎ木
[担当] 大阪食とみどり技セ・都市農業部・野菜園芸グループ
[連絡先] 電話0729-58-6551、電子メールmorishita@mbox.epcc.pref.osaka.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 「毛馬」キュウリは苦み果の発生が多いが歯切れのよいことから、糟漬けに適した品種である。果実の 苦みは長期の漬け物加工の段階で低下し、食味は問題とならない。しかし、伝統野菜として復活した現在では、 主にキュウリが生食として利用されることから、青果として生産・流通するためには、苦み果の発生が問題で ある。そこで、軽減対策技術を開発するために、苦み果の発現に及ぼす接ぎ木や肥料などの影響について 検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 「毛馬」キュウリ果実の苦み発現は、果梗部に近い果実上部が中部、下部に比べ強い。苦みは 果皮だけでなく果肉部にも発現する場合がある。苦みは「新土佐」への接ぎ木で軽減される傾向がある (表1)。
  2. 苦みが強いとされている系統と普通系統間で差はあるが、苦み発現は肥料の違いによる差は 見られない(表3)。
  3. 果実糖度はBrixで2.7〜3.8と変動するが、肥料や品種間では一定の傾向はない (表1)。
  4. 果実陥入応力(固さ)は「ときわ」に比べ毛馬の方は高いが、肥料間には差がない (表2)。
[成果の活用面・留意点]
    市販の品種には苦みを発現するものは少ないが、南支系の在来品種にあっては苦みを発現する品種もあり、 毛馬で苦みに系統間差がみられたことから育種に活用できる。しかし、その苦みの発現程度は環境要因で 変動しやすい形質である点に留意する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 近畿地域の伝統野菜の高品質安定生産技術と地産地消モデルの開発
予算区分 先端技術を活用した農林水産研究高度化事業
研究期間 2004〜2006年
研究担当者 森下正博、山崎基嘉、磯部武志、内藤重之、中村 隆

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