[成果情報名]

閉鎖型育苗装置を利用したコンパクトで花数の多いトマト苗の生産

[要約]  人工光(35w6本/育苗箱4枚)を使い炭酸ガス濃度1,000ppmの閉鎖型育苗装置で日長12〜20時間、 培養液濃度1.2〜4.8dS/m、平均温度20〜25℃で育苗すれば、トマト苗は周年育苗可能で、草丈が低く、 第1花房の収穫果数が多い。
[キーワード] トマト、閉鎖型育苗装置、日長、培養液濃度、温度、草丈、花数
[担当] 兵庫県立農林水産技術総合センター・農業技術センター・園芸部
[連絡先] 電話0790-47-2423、電子メールmasahiro_takegawa@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 トマトの優良苗の条件は、着花節位が低く、節間がつまり、花数が多く、病害虫のないことである。 この条件にあう苗を人工光を使った閉鎖型育苗装置で生産する方法について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 閉鎖型育苗を行ったトマト苗(品種:桃太郎ヨーク)は、8月は種において温室内で育苗した苗に 比べて胚軸が短太で、草丈が低く、葉色が濃くなる(表1)。 第1花房着花節位は温室内育苗では10節になるが、閉鎖型育苗では8〜9節となる。温室育苗と比べて 定植時の葉数には差はなく、第1花房収穫果数は多い。
  2. 日長条件を8、12、20時間の中で比較すると、日長が長いほど胚軸の伸びは小さく、定植後の開花が 早くなる(表2)。第1花房着花数は12時間日長で最も多い。
  3. 培養液濃度をEC1.2と4.8(dS/m)で比較すると、EC4.8の方が1.2に比べて草丈が低く、葉色が濃く、 第1花房着花数が多い(表3)。
  4. 育苗温度条件では、昼温−夜温が25−20℃の条件に比べて、22−18℃の方が胚軸長、草丈が低く、 開花が早い。また第1花房着花数が多い(表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 閉鎖型育苗装置は、密閉室内にて蛍光灯、エアコン、送風、炭酸ガス供給により人工環境を 作り出し、底面給液による灌水で育苗する装置である。
  2. 128穴又は72穴セルトレイを使用し、市販のセル苗用培養土で育苗する。潅水は液肥によって、 1日1回15分の底面給液とする。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 短節間ミニトマトの周年栽培における高品質生産技術の確立
予算区分 委託プロ(ブラニチ6系)
研究期間 2003〜2005年
研究担当者 竹川昌宏、時枝茂行、土屋和(太洋興業)

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