[成果情報名]

アスパラガス若茎を地際に押し倒して立茎させる誘引法

[要約]  アスパラガス全期立茎栽培において、母茎となる若茎を畝間方向に押し倒して母茎を列状に 形成させる誘引法を開発した。誘引は,若茎に半円筒資材の内側をあてがい、45度の角度まで倒し、再度、 曲がり癖のつく2日後に地際まで押し倒す。
[キーワード] アスパラガス、省力化、誘引、半円筒資材
[担当] 広島農技セ・野菜栽培研究部
[連絡先] 電話082-429-3066、電子メールngcyasai@pref.hiroshima.jp
[区分] 近畿中国四国農業・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 アスパラガスの収穫作業は、中腰でのきつい姿勢(つらさ指数10(長町ら))を強いられることから、 作業の省力・軽労化が必要である。また、アスパラガス栽培で普及している全期立茎栽培では、株養成を 行う母茎と若茎が畦上に混在しており、収穫は母茎を避けながらの作業となるため、煩雑で非効率と なっている。そこで、将来的に立ち姿(つらさ指数1)での収穫を目指す上において、効率的に収穫作業を 行えるよう、母茎となる若茎を地際に押し倒して、母茎を列状に形成させる誘引方法を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 若茎を地際に押し倒す資材は、半円筒資材(直径25mm、長さ27cm)で最も若茎折れ率が低い。また、 誘引時の若茎長が10〜30cmで茎折れ率に差はみられていない。しかし、茎長が5〜9cmでは茎折れ率 36.7%と高くなる(表1)。
  2. 誘引方法は、1回目にある程度の角度まで誘引し、曲がり癖がついた後、再度地際まで誘引する 2段階誘引を必要とする。誘引角度45度では、10%の折れ率であるが、60度では33.3%である (表2)。そこで、1回目の誘引角度は45度とする。再度、曲がり癖の つく2日後に地際まで誘引する。
  3. 誘引処理の時間帯による茎折れ率は、13時が最も低く、早朝及び夕方では高くなる(表3)。
  4. 誘引は、母茎となる若茎を畝間の方向に押し倒し、母茎を列状に形成させることで,母茎の 立茎位置を若茎の発生位置から極力遠ざける(図1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 既存のアスパラガス圃場においても取り組みが可能である。
  2. 土壌水分の高い状態での若茎誘引は鱗芽の付根部分での茎折れ率が高いため、避ける。
  3. 誘引処理による茎枯れ病の増加は認められない。
  4. 誘引後の母茎放任では約20%収量が減少する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 アスパラガス栽培の自然な立ち姿での収穫作業を目指した栽培管理技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2004〜2007年
研究担当者 坂本隆行、田中昭夫、越智資泰、今井俊治
発表論文等 特願2007-66973

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