[成果情報名]

カーネーションの2年切り栽培における2回切り返し法

[要約]  カーネーションの2年切り栽培において、1年間栽培した株を1回で切り返すのではなく、 2回に分けて草丈を段階的に低く切り返す、あるいは側枝を半分ずつ2回に分けて切り返すことにより、 高温時でも生存株率が上昇し、収量も増加する。
[キーワード] カーネーション、2年切り、2回切り返し法
[担当] 兵庫農総セ・淡路農業技術センター
[連絡先] 電話0799-42-4881、電子メールmasahito_yamanaka@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 カーネーションの2年切り栽培では、高くなり過ぎた草丈を低くすることによる作業性の改善や、 ほ場内のハダニ類などの密度を低くして害虫防除を容易にするため、1年間栽培した株を切り返す方法が とられる。しかし、高温時にいきなり低い草丈で切り返すと、株枯れが多発することが多い。そこで株を 1回ではなく、2回に分けて切り返す技術を開発し、2年切り栽培の安定化を図る。
[成果の内容・特徴]
  1. 切り返しは1回目に一定の草丈で切り返し、1か月後に2回目として15cmの草丈で切り返す 「高さ別2回切り返し法」あるいは株当たり4本発生している二次側枝を15cmの高さに1か月間隔で 2回に分けて切り返す「側枝別2回切り返し法」とする (図1)。
  2. 品種‘エクセリア’を用いた高さ別2回切り返し法において、1回目の切り返す草丈を30cm、50cm、 70cmと変えて比較すると、最終切り返し5週後の生存株率は、30cmでは100%、50cmでは81.8%、 70cmでは66.7%となり、1回目の切り返す草丈が低いほど、生存株率が上昇する (表1)。
  3. 高さ別2回切り返し法の1m2当たりの総収量は1回目の切り返す草丈が30cmでは 336.5本、50cmでは351.0本と同程度で、70cmの211.5本より多くなる (表1)。時期別には10〜12月の収量が、1回目の切り返す草丈が 低いほど多い傾向が見られる。切り花品質は変わらない (表2)。
  4. 同品種を用いた側枝別2回切り返し法において、最終切り返し5週後の生存株率は100%で、1回で 15cmの高さに切り返す従来法の68.8%より高くなる (表1)。
  5. 側枝別2回切り返し法の10〜12月の1m2当たりの収量は114.6本で従来法の40.6本の 約3倍となり、総収量も339.6本と多くなる。切り花品質は変わらない (表2)。早期の収量を得るには、高さ別2回切り返し法より、 側枝別2回切り返し法が有効である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 高さ別2回切り返し法では、ヘッジトリマなどの剪定用機械が利用できることから、省力的である。
  2. 生育期間中通じて、水分ストレスなく給液管理する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 カーネーションの2年切り栽培と高温期の品質向上による周年出荷技術開発
予算区分 県単特定
研究期間 2006〜2008年
研究担当者 山中正仁、岩井豊通
発表論文等 平成18年度園芸学会近畿支部大阪大会

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