[成果情報名]

ポットハボタンの要素障害

[要約]  ポットハボタンのカルシウム欠乏では生育不良と下位葉の枯死、ホウ素欠乏では上位葉の生育不良、 根の発達抑制が認められる。マグネシウム欠乏では下位葉の黄斑、鉄欠乏では上位葉のクロロシスが顕著で ある。マンガン過剰では褐色小粒斑点が発生する。
[キーワード] ポットハボタン、要素障害、生育不良、クロロシス
[担当] 兵庫農総セ・農技・園芸部
[連絡先] 電話0790-47-2424、電子メールjunya_ ishikawa@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 ポットハボタンは他の花壇苗に比べて地上部重が大きく、限られた用土量でのポット栽培では 要素障害が生じやすい。踊りハボタン等生育期間が長期化する生産が増え、ピートモス主体の用土では 塩基置換容量が小さく溶脱に伴う要素欠乏が発生しやすい。そこで、水耕栽培によりカルシウム、 マグネシウム、鉄、マンガン、ホウ素の欠乏及び過剰の障害を発生させ、生産現場での障害の診断に 活用する。
[成果の内容・特徴]
  1. カルシウム欠乏では上位葉の展葉阻害、下位葉の枯れ上がりが顕著である (図1)。ホウ素欠乏においては株全体の外観には大きな影響は ないものの、上位葉におうとつが見られ、形態が一定しない生育不良が見られる (図2)。また、ホウ素欠乏の根部では側根の伸長が停止し、 根系の発達が抑制される(図3)。
  2. マグネシウム欠乏では下位葉にネクロシスがみられるとともに、下位葉から中位派にかけて黄色で 葉脈間のクロロシスが見られるのに対し(図4)、鉄欠乏では 上位葉の葉全体の黄化が鮮明であり(図5)、マグネシウム欠乏の クロロシスとは明瞭に区別できる(図6)。
  3. 鉄過剰では50ppmで株の枯死症状を示し(図7)、 マンガン過剰では200ppmで下位葉に褐色小粒斑点が発生するとともに (図8)、上位葉の生育不良とクロロシスが発生する。 ホウ素50ppmでは葉縁からの白化、枯死が認められない(図9)。
  4. マンガンを含まない培地へ移植後50日間を経ても、障害は認められなかった。
[成果の活用面・留意点]
  1. 「F1つぐみ」を用いて10月17日から水耕栽培して生じた要素障害である。
  2. ホウ素50ppmであればパンジーなど多くの花壇苗で葉縁からの白化、枯死が顕著に認められる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 花壇苗標準培養土のグルーピング化による要素障害対策技術の開発
予算区分 県単
研究期間 2004〜2006年
研究担当者 石川順也、小山佳彦

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