[成果情報名]

カキ「早秋」の加温栽培特性と着果対策

[要約]  カキ「早秋」の加温栽培は、12月下旬から1月下旬加温開始で、7月上旬から9月下旬に高品質果実を 収穫できる。着果対策として、人工受粉およびジベレリン200ppmの開花盛期10日後処理が有効である。
[キーワード] カキ、早秋、加温栽培、着果、人工受粉、ジベレリン
[担当] 奈良農総セ・果樹振興センター・果樹栽培チーム
[連絡先] 電話0747-24-0061、電子メールsugimura@naranougi.jp
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 奈良県ではカキ「刀根早生」の加温栽培が行われているが、脱渋後の果実軟化によるロスや需要の 低迷による単価安が問題となっている。(独)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所育成の「早秋」は 早生の甘ガキで食味が良好であることから、加温栽培における特性を調査して加温栽培の適否を 調査するとともに、着果対策として人工受粉およびジベレリン処理の効果を調査する。
[成果の内容・特徴]
  1. 12月下旬加温開始の早期加温栽培では1月下旬発芽、3月上旬開花、7月上旬から収穫開始となる (表1)。1月下旬加温開始の普通加温栽培では2月上旬発芽、 3月下旬開花、8月上旬から収穫開始となる(表1)。これらの 生育期は「刀根早生」と同等である(データ省略)。
  2. 冷凍花粉をそのまま、あるいは5倍程度に石松子で希釈して人工受粉を行うか、ジベレリン200ppmを 開花盛期の10日後頃に処理すると高い着果率が得られる(図1)。
  3. 人工受粉では葉果比15〜18に調整すると300g前後の果実ができる。ジベレリン処理すると 人工受粉と比較して果実重がやや小さくなるが、へたすき、果頂裂果もなく、糖度も大きな差はない (表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. ジベレリンを使用するには農薬登録が必要である。
  2. 樹勢が強い場合はジベレリン処理しても二次伸長による落果が多くなる場合がある。また、 日照不足が続く場合にはジベレリン処理しても落果が多い場合がある。
  3. ジベレリン処理すると7日程度収穫が遅れる場合がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 甘ガキのハウス栽培技術の開発
予算区分 県単、園芸振興松島財団研究助成(2003)
研究期間 2003〜2006年
研究担当者 杉村輝彦、今川順一、脇坂 勝、浦崎孝行
発表論文等 杉村ら (2006) 近畿中国四国農業研究 8:89-92.

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