[成果情報名]

5-アミノレブリン酸の葉面散布はブドウの環状はく皮の効果を増大する

[要約]  5-アミノレブリン酸(ALA)の葉面散布は、環状はく皮したブドウ樹の光合成速度を向上させ、 環状はく皮時にALA0.3%含有肥料を葉面散布することにより、ブドウの糖度が向上する。
[キーワード] 環状はく皮、5-アミノレブリン酸、着色、ブドウ
[担当] 広島農技セ・果樹研・落葉果樹研究室
[連絡先] 電話0846-45-5472、電子メールngcrakuyou@pref.hiroshima.jp
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 環状はく皮はブドウの糖度や着色を向上させるが、一方で、個葉の光合成速度を低下させる。 5-アミノレブリン酸(以下ALA)はクロロフィルやヘムに代表されるテトラピロール化合物の共通前駆体で あり、低濃度の葉面散布により光合成速度を向上させることが報告されている。環状はく皮により低下した 光合成速度を向上させることができれば、より大きな品質向上効果が得られる可能性がある。そこで、ALAが 環状はく皮したブドウ樹の光合成速度、糖度および着色に及ぼす影響を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. ALAの葉面散布は環状はく皮により低下した光合成速度を回復させる (図1)。また、ALAによる光合成の向上効果は約2週間である (データ略)。
  2. 環状はく皮処理を行いALAを葉面散布すると、それぞれの単独処理よりも糖度と着色が向上する (図2)。
  3. 環状はく皮処理時にALA0.3%含有肥料を3000倍希釈で散布すると、糖度の向上効果が高い (図3)。また、1000倍液を環状はく皮時およびその2週間後の 2回散布した場合も高い効果が得られる。アントシアニン含量についてはバラツキが大きく、ALA含有肥料の 効果は明確ではない。
[成果の活用面・留意点]
  1. 2回以上散布する場合、1000倍液で効果が認められているが、最適濃度および最適散布回数ついては さらに検討が必要である。
  2. 10aあたりの費用は5,250円となる(ALA0.3%含有肥料3000倍液300Lを2回散布した場合)。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 高温ストレスによるブドウ果実の成熟異常防止技術の開発
予算区分 受託(コスモ石油・誠和公募型共同研究、気候温暖化プロジェクト)
研究期間 2003〜2007年
研究担当者 山根崇嘉・柴山勝利・薬師寺博(農研機構果樹研)・若ア由香・浜名洋司

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