[成果情報名]

あら摘果を重点とした主枝・亜主枝先端部摘果による「はるみ」の隔年結果軽減技術

[要約]  「はるみ」は7月上旬までにあら摘果を重点とした主枝・亜主枝先端部摘果を行い、仕上げ摘果で1m3 当たり20〜25果の着果管理を行うと隔年結果が軽減できる。あら重点の摘果は2L級果の割合が高く、大枝および 大根への炭水化物の蓄積が顕著に増加する。
[キーワード] はるみ、隔年結果、主枝・亜主枝先端部摘果、主枝交互摘果、炭水化物
[担当] 愛媛県立果樹試験場・栽培育種室
[連絡先] 電話089-977-2100、電子メールfujiwara-fumitaka@pref.ehime.jp
[区分] 近畿中国四国農業・果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 「はるみ」は食味の優れる品種であるが隔年結果性が強く、年によっては品質の変動が大きくなり果皮障害が 発生するなど克服すべき技術上の問題が多い。隔年結果の要因は、高接ぎ樹が多いこと、地上部に比べて地下部の 生長が劣ること、結実性が極めて良いために摘果不足になりやすいことがあげられる。そこで、安定生産のための 適正着果量と摘果の方法について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 1m3当たりに40果以上成らせると翌年の着花は著しく少なく、10果以下の場合は着花過多と なる(図1)。前者は、7月に入ると葉が黄化し、旧葉は著しく落葉する。 1m3当たりの収穫果数を20〜25果に制限すると、新梢と花のバランスは良好で連年生産が可能である。
  2. 7月上旬にあら摘果重点(あら:仕上げ=80:20)の強めの摘果を行うと仕上げ重点の摘果 (あら:仕上げ=20:80)に比べて2L級果の割合が高まり、地下部の乾物重が大きく、大枝および大根への 炭水化物の蓄積が顕著に増加し、その他の部位についても総じて炭水化物とくにデンプンの蓄積が多くなる (図2)。
  3. 新梢発生の少ない表年樹に対しては7月上旬までに主枝先端から50pまでになっている果実をすべて 落とすあら重点の主枝・亜主枝先端部摘果を行い、同時にその他の部位についても直花果主体に間引き摘果を 行って8月上中旬に1m3当たり果数が20〜25果になるよう仕上げ摘果を行うと、慣行の枝別摘果に 比べて次年度の着花は安定し、階級は2L・L級果中心となる(表1)。
  4. 主枝・亜主枝単位に樹の片側の果実1/2程度をすべて落とす主枝交互摘果を行うと、1果重が小さく L・M級中心となり、翌春は前年着果させなかった部位を中心に着花過剰となる(データ省略)。
  5. あら摘果を重点とした主枝・亜主枝先端部摘果は、主枝交互および慣行の枝別摘果に比べて糖度は やや低くなるが、樹上での果皮障害の発生はやや少ない(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 夏秋梢の多い樹は著しく着花が多くなるため、主枝先端の切り返しや大枝単位に予備枝を設定して優良な 新梢を発生させる。
  2. 夏秋季に土壌が乾燥しすぎると旧葉の落葉と葉色の低下がみられ、果実肥大が抑制され酸高の果実と なるため、梅雨明け後に降雨量がなければ5〜7日間隔で20o程度のかん水を行う。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 ポスト伊予柑カンキツの生産安定試験
予算区分 県単
研究期間 2003〜2007年
研究担当者 藤原文孝、井上久雄、山内亜希子

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