[成果情報名]

食品リサイクル飼料を活用した霜降り豚肉の生産技術

[要約]  スーパーマーケットの販売期限切れ食品と食パン耳・余剰麺類を乾燥した2種類の食品リサイクル 飼料を、配合飼料と一部代替して肥育豚に給与すると、胸最長筋内脂肪含量の増加した柔らかい霜降り 豚肉が生産できる。
[キーワード] 食品リサイクル飼料、肥育豚、霜降り豚肉
[担当] 兵庫農総セ・畜技・家畜部
[連絡先] 電話0790-47-2428、電子メールOsamu_Shidara@pref.hyogo.jp
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 食品リサイクル法に対応するため、スーパーマーケットおよびパン・麺工場由来の食品廃棄物の 乾燥物を肥育豚に給与して栄養評価と発育試験を行い、高品質豚肉生産のための食品リサイクル飼料 給与体系を確立する。
[成果の内容・特徴]
 食品リサイクル飼料は、農産品79.5%、総菜類18.2%およびパン類2.3%の重量比からなる スーパーマーケット販売期限切れ食品の混合乾燥物(以下S飼料)と、食パン耳85%および廃棄麺類15%の 重量比の混合乾燥物(C飼料)を用いる。両飼料の栄養評価のために肥育豚による消化試験を行う。 発育試験は、試験区が肥育の前期(体重40〜70kg)飼料にS飼料を20%代替、後期(体重70〜110kg) 飼料にC飼料を50%代替して群飼で給与し、対照区は配合飼料を群飼で給与する。
  1. 消化試験による可消化養分総量(以下TDN)は、S飼料が73.3%、C飼料が92.6%である (表1)。
  2. 前期飼料は、試験区の粗蛋白質、粗脂肪が対照区よりも少ないためTDNが低く、後期飼料は 粗脂肪と可溶無窒素物が対照区よりも多いためTDNが高い (表2)。
  3. 肥育豚の1日平均増体量と飼料要求率は試験期間を通じて試験区が劣るが、有意差はない。 この結果、出荷日齢は5日程度遅延する(表3)。
  4. 胸最長筋内粗脂肪含量は試験区で有意に増加し、目視でも明らかな霜降り豚肉になる (図1)。
  5. 厚さ2cmの胸最長筋をビニール袋に入れて70℃の温湯内で1時間加熱した調理肉の テクスチュロメーターによる硬さと、胸最長筋内粗脂肪含量の間には有意な負の相関があり、 粗脂肪含量の多い豚肉は柔らかい(図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 食品リサイクル飼料を活用した霜降り豚肉生産技術として活用する。
  2. 食品リサイクル飼料の安定的な確保が必要である。
  3. 成果は去勢豚の成績であり、雌豚では発育が劣ると考える。
  4. 霜降り豚肉のブランド化には、生産から販売まで一連の組織体制づくりが必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 家畜用飼料として利用可能な食品余剰物の検索と飼料化技術及び実証試験
予算区分 県単
研究期間 2001〜2005年
研究担当者 設楽 修

目次へ戻る