[成果情報名]

大豆油精製副産物を用いた低コレステロール高トコフェロール卵の生産

[要約]  植物ステロールを主成分とする大豆油精製副産物を若齢の産卵鶏に給与すると、生産性や卵質は 変わらないままで、コレステロール含量が有意に10%低下し、トコフェロール含量が10倍に増加して、 低コレステロール高トコフェロール卵の生産が可能になる。
[キーワード] 卵用鶏、植物ステロール、コレステロール、トコフェロール
[担当] 大阪食とみどり技セ・食品・資源部・生物資源グループ
[連絡先] 電話072-958-6551、電子メール izumo@mbox.epcc.pref.osaka.jp
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 鶏卵は栄養や調理特性に優れた食品であるが、高コレステロール血症の増加に伴って、 コレステロールの多い食品の中では必要以上に敬遠される傾向にある。植物ステロールは人で 血中コレステロールを低下させる効果があり、抗酸化作用が強いトコフェロール(ビタミンE)は 消費者の評価が定着している。この両者を含有する大豆油精製副産物を産卵鶏に給与して、 低コレステロール高トコフェロール卵の生産技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 大豆油精製副産物は脱臭スカムからトコフェロールを抽出した残渣で、これを乾燥して卵用鶏に 給与する。乾燥物には49%の植物ステロール(シト:スチグマ:カンペ各ステロール=5:3:2)と、 0.8%のトコフェロール(α当量)が含まれている。
  2. 大豆油精製副産物の添加割合を、2、5、10%として給与すると、添加割合に依存した効果が 認められ、給与を中止すると効果は消失する。実用的な添加割合は5%である。
  3. 老齢鶏(15〜17ヶ月齢・1区30羽)の給与試験では、血漿コレステロールと全卵コレステロールは 減少傾向を示すが有意ではなく、全卵トコフェロールは有意に増加する。卵黄色は有意に低下するが、 その他の卵質や鶏卵の生産性に変化はない(図1)。
  4. 若齢鶏(6〜9ヶ月齢・1区30羽)の給与試験では、血漿コレステロールは減少傾向を示し、 全卵コレステロールは有意に約10%減少する。12〜15%の減少は給与期間中でもその後の上昇を 招くため、コレステロールの生合成を刺激しない減少率は10%程度と見られる。全卵トコフェロールは 10倍に有意に増加する。卵黄色は低下傾向で、産卵日量は増加傾向を示し、その他の卵質や鶏卵の 生産性に変化はない(図2)。
  5. 若齢鶏・老齢鶏ともに夏季、秋季、冬季の給与試験で同様な結果が得られる。このため、若齢鶏を 用いれば、全卵コレステロールが有意に10%少なく、全卵トコフェロールが10倍多い鶏卵の、 年間を通じた生産が可能となる。
  6. 生産された鶏卵に植物ステロールは含まれていない。
[成果の活用面・留意点]
  1. 大豆油精製副産物は乾燥・粉砕を要するが、長期の乾燥はトコフェロール含量を低下させるので、 乾燥期間は1〜2日程度にする。
  2. 飼料への混合も7〜10日間隔で行うと、トコフェロール含量の低下を防止できる。
  3. 菜種など他の食用油の精製工程でも、同様な副産物が発生する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 粗製植物ステロールを用いた低コレステロール高トコフェロール卵の生産方法の研究
予算区分 大阪府試験研究機関提案型調査研究事業(2004年度、府費)
財団法人旗影会助成研究(2005年度)
研究期間 2004〜2005年
研究担当者 出雲章久・石塚 譲(大阪食とみどり技セ)・藤田忠久(大阪府立大学)
発表論文等 出雲、財団法人旗影会平成17年度研究報告概要集、119、(2006)

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