[成果情報名]

肉用あひる大阪種の肥育に伴う呈味成分と歯ごたえの増加

[要約]  肉用あひる大阪種の胸肉の遊離グルタミン酸は3から12週の肥育期間に1.5倍に、保水力は約2倍に、 剪断力価は1.5倍に全て増加する。この味や歯ごたえは6週以降も増加しており、高品質なあひる肉の 生産のためには、10週以上の肥育期間が必要である。
[キーワード] 肉用あひる、呈味成分、グルタミン酸、歯ごたえ
[担当] 大阪食とみどり技セ・食品・資源部・生物資源グループ
[連絡先] 電話072-958-6551、電子メール izumo@mbox.epcc.pref.osaka.jp
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 あひるの肥育期間は海外で7週、国内では10〜11週と1.5倍の差があり、この間に肉色などの肉質は 大きく変化する。消費者の評価に直結するあひる胸肉のうま味や歯ごたえに関して、呈味成分の 遊離アミノ酸量とイノシン酸量、肉の物性として剪断力価などを測定して、成長に伴うあひる肉の おいしさの変化を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 胸肉から抽出した遊離グルタミン酸は3週の0.65(μmol/g meat)から9週の0.90へと直線的に 増加するが、12週では0.96と増加は鈍る。(図1
  2. 3から12週で、遊離アミノ酸の総量20(μmol/g meat)で変化しないが、呈味に関連するアミノ酸の 合計量は8から12(μmol/g meat)と増加傾向を示す。(図2
  3. イノシン酸は試験期間を通じて大きな変化を見せず1.5(μmol/g meat)程度で推移する。
  4. 水分含量は3週の83%から12週の73%へと直線的に減少する。加圧保水力は3週の約41%から 9週の約75%へと著増する。加熱損失率と圧搾肉汁率は6から12週へ直線的に低下する。 (図3
  5. 剪断力価は6週の2kgfから9週の3kgfへと1.5倍増加し、鶏肉(ブロイラー)から 豚肉(ロース)レベルの歯ごたえに変化する。(図5
[成果の活用面・留意点]
  1. あひる胸肉のグルタミン酸等の呈味アミノ酸、保水力、剪断力価は肥育期間に伴って増加し、 消費者に高く評価される総合的なおいしさが完成する。
  2. こうした変化は7週では完成しておらず、肉質から見た肉用アヒルの肥育期間は、10週以上 必要である。
  3. 飼料要求率は7週の3前後から10週の4前後へと大きく低下する。
  4. 一般の肉用あひるであればこの間に皮下脂肪が大きく増加するが、大阪種での皮下脂肪の 増加率は5%程度低い。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 大阪種の遺伝育種情報と呈味成分の解析
予算区分 府費
研究期間 2004〜2006年
研究担当者 出雲章久・笠井浩司、西岡輝美、安松谷恵子

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