[成果情報名]

高圧通気マットによる乳牛排せつ物の堆肥化

[要約]  高圧空気を微量吐出するノズルを装着したマットを床に敷き、その上に堆肥化原料を堆積して 通気をすれば、切り返しが不要なので、野外でシートで覆った堆肥化にも利用できる。
[キーワード] 家畜排せつ物、畜産環境、堆肥化、通気、ノズル
[担当] 島根畜技セ、酪農・環境グループ
[連絡先] 電話0853-32-2631、電子メールarima-yoshinobu@pref.shimane.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 堆肥化において、好気性発酵を促進するに切り返しや撹拌が必要であるが、野外で非透水性シートを 被せて低コスト化を図るシート方式堆肥化方法では、切り返し作業は困難である。この作業を 省略するため、ブロワーで通気する方法が一般的ではあるが、数ヶ月の処理期間中に堆積物が重圧で 締まり、通気が難しくなることもある。そこで、高圧空気を微量吐出するノズルを装着したマットを 堆肥盤に敷くことで、確実に通気できる「高圧通気マット方式堆肥化方法」を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 高圧通気マットは1.2x 1.8m、厚さ4cmの硬質ゴム製の牛床マットに、吐出口径が0.2mm、 0.5MPa(5気圧)の圧縮空気を送ると毎分2リットルの吐出量がある微孔ノズルを60cm間隔で 6個埋め込み、内径4mmの耐圧チューブで配管する(図1)。
  2. 装置の設置は、高圧通気マットを堆肥化量規模に応じて必要な面積に敷き詰め、隣のマットと チューブを接続するだけで、特別な工事は不要である。
  3. 水分約72%に調整した乳牛排せつ物を、高圧通気マットを12枚用いた「通気あり」の区と 高圧通気マットを用いない「通気なし」の区に分けて堆積して堆肥化すれば、発酵温度 (図2)や総乾物分解率 (表1)において通気の効果が顕著に認められる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 堆肥化期間は原料や製品の積み替え時間等を入れても3.5ヶ月あれば十分であることから (図2)、乳牛1頭当たり必要なマットは2枚である。
  2. 導入コストは高圧通気マット1枚(2.16平方m)当たり5万円程度である。また、 ランニングコストは電気料金がマット1枚当たり約1日30円である。
  3. 設置は堅い地面であれば、多少の凸凹はマットがゴム製なのでなじみやすく、場所は特に 選ばない。なお、マットの寿命は未検証である。
  4. 堆肥化用の通気性シートを用いても、水分の蒸発量が少ないので、低水分堆肥の生産は難しい (表1)。
  5. この装置は一部に市売されてない特殊部品(島根県所有の特許)も含むことから、導入希望が あれば島根畜技センターへ相談すること。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 高圧通気方式による堆肥化技術の実証
予算区分 県単
研究期間 2005〜2007年
研究担当者 有馬儀信、飯島久実、村尾克之、竹並敦子、宇谷道弘
発表論文等 業界雑誌等、特願2005-014992(特開2006-198566)

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