[成果情報名]

黒柏を利用した地どりの肉中の抗酸化性ジペプチド含量

[要約]  黒柏を利用した地どりの胸肉は、抗酸化性ジペプチドであるアンセリンを、ブロイラーの胸肉に 比べて約1.5倍多く含む。
[キーワード] 鶏肉、品質、アンセリン、カルノシン、抗酸化性
[担当] 山口畜試・飼養技術部・家畜飼養グループ
[連絡先] 電話0837-52-0258、電子メールa17606@pref.yamaguchi.lg.jp
[区分] 近畿中国四国農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 健康志向に対応した畜産物への期待が高まる中で、アンセリンとカルノシンは、抗酸化能や抗疲労作用を 有する機能性ジペプチドとして注目されている成分である。これらは骨格筋、中でも鶏肉中に特に多く 含まれていることから、地どり肉の高付加価値化の可能性を探るために、アンセリンとカルノシン含量の分析を 行う。
[成果の内容・特徴]
  1. アンセリンは、地どりの胸肉(浅胸筋)中に1,158mg/100g含まれ、ブロイラーの胸肉の776mg/100gに 比べて、約1.5倍多く含まれる。また、もも肉(半膜様筋)中には499mg/100g含まれ、ブロイラーの 436mg/100gに比べて多く含まれる(表1)。
  2. カルノシンは、地どりの胸肉及びもも肉中にそれぞれ260、109mg/100g含まれ、ブロイラーの同 380、144mg/100gに比べて少ない傾向にあるが、有意差はない (表1)。
  3. アンセリンとカルノシンの合計は、地どりの胸肉が1,418mg/100gであり、ブロイラーの 1,160mg/100gに比べて多い。また、もも肉では、それぞれ607、580mg/100gと地どりの方が多い傾向に あるが、有意差はない(表1)。
  4. 以上より、地どりの胸肉及びもも肉は、ブロイラーに比べて機能性成分であるアンセリンを多く含み、 健康機能面で差別化することができる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 機能性成分を多く含むとして、地どりの肉の高付加価値化ができる。なお、本実験に用いた地どりは、 交配様式が[シャモ×[黒柏×ロードアイランドレッド]]×ホワイトロックで、当場で84日間肥育したもので あり、ブロイラーには、県内の養鶏農協で生産されたホワイトロックを用いた。
  2. 機能性成分を多く含むことは明らかになったが、これらが実際に機能性(ここでは抗酸化性)を 発現するかについては未調査である。
  3. アンセリン及びカルノシンは、胸肉(浅胸筋)ともも肉(半膜様筋)からスルホサリチル酸で抽出し、 アミノ酸分析計(日本電子JLC−500)で分析した。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 地どりの生産性、肉質向上及び加工に関する研究
予算区分 県単
研究期間 2002〜2006年
研究担当者 岡崎 亮、関谷正男

目次へ戻る