[成果情報名] | バラ切り花の「一定長切り上げ・順次切り下げ収穫法」による多収技術 |
[要約] | バラ‘ローテローゼ’のロックウールに栽培において、1番花および2番花を一定長で採花し、3番花を採花母枝1節付けて採花して、採花母枝を1節ずつ切り下げる収穫法では、慣行の基部収穫法より周年で約40〜90%収量が増加する。 |
[キーワード] | バラ、ロックウール耕、収穫法、多収 |
[担当] | 兵庫農総セ・園芸部 |
[連絡先] | 電話 0790-47-2424 |
[区分] | 近畿中国四国農業・花き |
[分類] | 技術・普及 |
近年、切り花の家庭消費需要の増加により、これまで栽培目標としてきた重厚長大な切り花ではなく、扱いやすいボリューム感と値頃感のある切り花の多収技術の開発が重要になってきている。このため、今後の切り花経営の安定化方策の一つとして期待できる50〜70cmの切り花を周年にわたり、多く収穫できる新たな収穫法を開発する。
1.栽培はロックウール耕とする。長さ90cm幅30cm厚さ10cmのロックウールマットに‘ローテローゼ’12株を6株ずつ2条で秋に定植する(実験では9月25日)。愛知花研処方液肥を0.5(夏期)単位から0.8単位(冬期)の濃度範囲で排液率が20〜40%となるよう施用する。定植後、基部から伸長した茎は通路方向へ折り曲げ、同化専用枝とする。2月上旬(実験では2月10日)に伸長中の茎をすべて除去し、その後伸長した茎を採花枝あるいは採花母枝とする。
2.収穫法は、まず、基部から伸長する茎を1番花として一定長で採花し、その下部茎を一次採花母枝とする。次に一次採花母枝から発生する茎を2番花として一定長で採花し、二次採花母枝とする。さらに二次採花母枝から伸長した茎は3番花として、二次採花母枝1節付けて採花する。二次採花母枝を一次採花母枝まで切り下げると、一次採花母枝を1節付けて採花する。最終的には再び一次採花母枝から茎が伸長するので、再度2番花として一定長で収穫する。以降はこれを繰り返す(図1)。
3.一定長を50cmあるいは70cmとした一定長切り上げ・順次切り下げ収穫法と慣行の基部収穫法の株当たり切り花本数を比較すると、基部収穫法では15.0本、一定長50cm区では28.5本と90%増加し、一定長70cm区では21.3本と42%増加する(表)。
4.時期別の切り花本数は、いずれの収穫法でも7〜8月が多く、年間を通じて一定長切り上げ・順次切り下げ収穫法が多くなる(図2)。
5.3番花の長さおよび重さは一定長70cm区が77.8cm、28.0gで一定長50cm区の74.4cm、25.2gより増大する。B/A値は切り花の値は一定長切り上げ・順次切り下げ収穫法の1番花および2番花は基部収穫法と同等以上であるが、3番花は減少し、量感が低下する(表)。
6.70cm一定長切り上げ・順次切り下げ収穫法は、切り花長70cm・B/A値0.45以上の上物数が基部収穫法と同程度である(図3)。
1.採花母枝から伸長する茎は、長さ40cm以下の茎を除いて、すべて採花する。
2.50cm一定長切り上げ・順次切り下げ収穫法は家庭消費対象の短茎・多収生産に適している。
[具体的データ]
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[その他] | ||
研究課題名 | :
収穫サイクルの短縮による家庭用切り花専用生産技術の開発
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予算区分 | : 県単 | |
研究期間 | : 2004〜2007年度 | |
研究担当者 | : 小山佳彦、山中正仁、石川順也 | |
発表論文等 | : 1)小山ら(2005)近畿中国四国農業研究、7:41-46 |