[成果情報名]

機械造粒した浄水場発生土とピートモスを混合した培地の花壇苗への利用

[要約]

機械で造粒篩別した浄水場発生土とピートモスを容積比で50%ずつ混和した培養土でのペチュニア、パンジーおよびキンギョソウの生育は慣行培地とほぼ同等であり、花壇苗用の培地として利用可能であるが、ストックではマンガン過剰症が発生するために50%混合の利用は不適である。

[キーワード]

花壇苗、ストック、浄水場発生土、マンガン過剰症

[担当]

広島総研・農技セ・栽培技術研究部、生産環境研究部

[連絡先]

電話 082-429-3066

[区分] 近畿中国四国農業・花き
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

浄水場発生土(以下浄水土と略記)は、大部分が産業廃棄物として処理されているため、資源としての有効利用が求められている。広島県太田川水系宮原浄水場で廃棄される浄水土は、含水率70%以上と高く、培地として直接利用できない。また、浄水場で河川水の濁りを沈殿させる処理の過程で、マンガンなどの重金属を多く含む特徴がある。そこで、天日の下で機械を利用した攪拌により、跳ね上げながら球状に造粒し加熱乾燥処理した浄水土とピートモスの混合培地を用いて、植物の生育状態と無機成分含有率を調査し、花壇苗培地としての利用可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]

1.浄水土は、天日下で攪拌装置で造粒し、加熱乾燥処理後に粒径2〜6mmに篩別したものである。

2.有効水分率は、浄水土区(浄水土混合培地)で慣行区と比べて低いが、仮比重、三相分布および全孔隙量は慣行区とほとんど差がない(表1)。NH4-Nは浄水土区が慣行区より多い。また、浄水土区の交換性Na2Oおよび交換性Mn含有量は、慣行区と比べて著しく多い。

3.供試した4種の生育は、パンジーの株幅を除いて浄水土区で慣行区と比べて同等か、それ以上である(表2)。

4.植物体の無機成分含有率は、すべての品目で浄水土区のNが高く、逆にCaが低い。Kはパンジーおよびペチュニアでは浄水土区が高く、一方、キンギョソウおよびストックでは低い。他の無機成分含有率では、Naは浄水土区で慣行区の4.0〜6.0倍、Mnは3.6〜5.1倍と高い特徴がみられる(表3)。

5.ストックは浄水土区で、初期に葉身部の先端が枯れ上がり(図1・上)、進展期に白い斑点が葉身部全体にMn過剰と考えられる症状が全株に現れる(図1・下)が、他の品目では外観に障害は認められない。

[成果の活用面・留意点]

1.浄水土にピートモスを加え容積比で50%利用しても、ペチュニア、パンジーおよびキンギョソウには利用できるが、ストックには利用できない。

2.ストックでは、マンガン過剰症を発生させない浄水土の配合割合について検討が必要である。

3.今回供試した品目以外でも、マンガン過剰症の発生に注意を要する。

[具体的データ]

 

[その他]
研究課題名 : 浄水場発生土の花壇苗及び野菜苗培地への適用性評価
予算区分 : 受託
研究期間 : 2007年度  
研究担当者 : 原田秀人、伊藤純樹、竹中賢司

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