[成果情報名]

炭酸カルシウム水和剤加用による銅水和剤のカンキツ黒点病に対する防除効果向上

[要約] 銅水和剤(ICボルドー66D)に炭酸カルシウム水和剤(クレフノン)を加用すると単用と比較して ウンシュウミカンの黒点病に対する防除効果が向上し、薬害の発生も軽減される。炭酸カルシウム水和剤を 加用した銅水和剤の4回散布により、一般の出荷基準においても実用的な防除効果が得られる。
[キーワード] ウンシュウミカン、黒点病、銅水和剤、炭酸カルシウム水和剤
[担当] 和歌山農総セ・果樹試・環境部
[連絡先] 電話0737-52-4320
[区分] 近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、化学合成農薬を使用していない農産物へのニーズが高まっている。ウンシュウミカンの慣行の 栽培体系では黒点病防除の基幹剤としてマンゼブ剤やマンネブ剤の使用回数が多く、これらの代替として 銅水和剤の活用が期待されている。そこで、マンゼブ剤などの化学合成農薬を使用しない栽培体系の中で、 銅水和剤に炭酸カルシウム水和剤を加用した場合の防除効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. ウンシュウミカンの黒点病に対して、銅水和剤(ICボルドー66D)80倍に炭酸カルシウム 水和剤(クレフノン)200倍を加用すると単用よりも防除効果が高くなる。 また、炭酸カルシウム水和剤加用による効果の向上は少発生条件において顕著である (図1)。銅水和剤の散布後には果実に薬害 (スターメラノーズ)が生じる場合もあるが、炭酸カルシウム水和剤加用により軽減される (試験2、データ省略)。
  2. 炭酸カルシウム水和剤を加用した銅水和剤の4〜5回の散布により、10月下旬における 黒点病の発病度は、6.2〜18.5になり、無散布に比べて効果が認められる (図1)。
  3. 炭酸カルシウム水和剤を加用して銅水和剤を4回散布すると、収穫果実の87.8%が一般の 出荷基準(被害程度「無」及び「軽」)を満たし、実用的な防除効果が得られる(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 夏期の銅水和剤の散布では、主成分である銅により果実にスターメラノーズが発生するので、 高温の時間帯を避けて散布する。
  2. 銅水和剤の防除効果は、炭酸カルシウム水和剤を加用した場合でもマンゼブ剤と比較して低い。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名 果樹病害虫防除技術の開発
予算区分 交付金 食の安全・消費者の信頼確保
研究期間 2007〜2008年度
研究担当者 井沼 崇、間佐古将則、増田吉彦

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