農作業安全コラム

使用している刈刃に異常はありませんか?

H29年7月 皆川 啓子

 草刈りのシーズンがやってきました。刈払機で切っても切ってもまた生えてくる雑草の生命力にゲンナリすると同時に、そのたくましさを尊敬してしまうこともありますが、皆さんはいかがでしょうか。

 さて、皆さんは刈払機の刈刃は何をご使用でしょうか?様々なタイプの刈刃がありますが、適切に使い分けていますか?汎用性の高いチップソー、一枚ものの金属刃、ナイロンコードの3種類が主流です。しかしながら、どの刈刃を使用するとしても作業前に必ず刈刃に欠けやヒビが無いかを確認してください(ナイロンコードの場合は、ケース部分を要チェック!)。

 刈刃に欠けやヒビが生じたまま使用すると、振動が大きくなったり、その部分から更に刈刃に異常が生じたりすることがあります。特に欠けた刈刃が使用者自身に向かって飛んで来たり、周りに飛び散ったりしてしまうと、大きな事故に繋がります。刈刃に異常を発見したら直ぐに付け替えている方もいらっしゃると思いますが、安易に安い刈刃を購入して使用すると、欠けやヒビが生じやすく危険です。事故事例の中には、刈刃の外周部分が取れて円盤状に飛んでいったという報告もありました。これは極端な事例ですが、チップソーでは特に刃先に溶接されている超合金の部分が割れたり欠けたりして、使用者の目に入ったために失明してしまう事例が散見されます。短時間の作業であっても、必ず飛散物防護カバーを正しい位置に装着し、暑いかもしれませんが保護メガネやフェイスシールドを装着していただけますようお願いします。 「汗で曇ってしまうから装着しない」というご意見をいただくこともありますが、曇り止めスプレーやメッシュタイプのフェイスシールドを使用することで対策できます。物損であれば修理できますが、ご自身がケガをする、特に失明すると、その後の人生が大きく変わってしまいます。必ず、対策をお願いします。

 また、当センターで実施している安全鑑定外部リンクでは、標準装備の刈刃を一定の速度で鉄製の丸棒に当てた時に欠けやヒビが生じないことが必要です。その他にも、保護メガネが標準装備されているか、飛散物防護カバーの防護している範囲が基準を満たしているか、安全な作業を行うために必要な条件を示した安全標識が貼付されているか等も確認しています(農業機械の安全装備いろいろ) 外部リンク

 たった一度の事故が、ご本人の人生だけでなく、経営そのものやご家族の生活まで揺るがしてしまうことも珍しくありません。刈払機を更新する際には、こういった安全装備の有無も参考に機械を選定していただけたら、幸いです。


 

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