LWD種,性別不明,0日齢,死亡例.母豚400頭規模の一貫経営農場で2009年2月初旬に黒子,白子が娩出され,その約1週間後の2日間で2頭の異常産が発生した.母豚2頭は初産で予定の約10日前に分娩し,特に臨床的異常はなかった.この母豚2頭から娩出された検査に適する死産子豚4頭を病性鑑定に供した. 剖検では,胸腔及び腹腔内に少量の血様内容があった.母豚へのワクチンは未接種であった. 組織学的に,心臓(提出標本)ではおもに心外膜側心筋表層や心室中隔中層は弱好酸性で横紋不明瞭であった.このような心筋細胞は巣状性に多発し,心筋細胞間質では膠原線維が増生し,リンパ球やマクロファージが軽度に浸潤していた.また,変性病巣にコッサ反応陽性の顆粒が沈着し,心外膜に巣状性にリンパ球が浸潤していた(図38).脾臓及びリンパ節では,リンパ球が減少し,多核巨細胞が浸潤していた.ビオチン化抗豚サーコウイルス(PCV)2型豚血清(動物衛生研究所)を用いた免疫組織化学的検査で,心臓,脾臓及びリンパ節に陽性反応があり,心臓での陽性反応は変性・壊死した心筋細胞の細胞質内と,まれに核にも存在した.その他の臓器に著変はみられなかった. 病原検索では,主要臓器及び胃内容から病原細菌とウイルスは分離されなかったが,PCR検査でPCV2は陽性,豚パルボウイルス及び豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルスは陰性であった. 以上より本症例は「豚サーコウイルス関連疾病(PCVAD),死産」と診断された. |
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