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花弁で特異的に発現するキクF3Hプロモーター


[要約]

 キクのフラバノン3-ヒドロキシラーゼ(F3H )遺伝子のプロモーター領域をレポーター遺伝子(GUS )に連結後,ペチュニアに導入して発現解析を行った結果、本プロモーターが花弁で特異的に働くことが明らかとなった。

[キーワード]

プロモーター、花弁特異的、F3H 遺伝子

[担当]青森グリーンバイオセ・細胞工学研究部
[連絡先]017-728-1015
[区分]生物工学
[分類]科学・参考


[背景・ねらい]

 遺伝子の組織特異的な発現はプロモーター領域により制御されていることから、花色の分子育種を行うためには花弁で発現するプロモーターが必要となる。そこで、キクから花弁で発現していると考えられるフラバノン3-ヒドロキシラーゼ(F3H )遺伝子のプロモーター領域をクローニングし、レポーター遺伝子(GUS )に連結後、ペチュニアに導入して、その発現の組織特異性の解析を行った。

[成果の内容・特徴]

1.

キクF3H 遺伝子のプロモーター領域(約2.2Kbp)をレポーター遺伝子(GUS )に連結後、アグロバクテリウム法によりペチュニアに導入し、得られた形質転換体を用い、GUS染色及び活性の測定により発現の組織特異性を明らかにした。

2.

基質浸透性を高めるためヘキサン浸漬を行った後、GUS染色にすることより、花弁において強い発色が認められる(図1)。

3.

各組織・器官におけるGUS活性のMUGを基質とした測定により、花弁の花冠で高い活性が認められる(図2)。

4.

花弁切片のGUS染色により、アントシアニンの蓄積が見られる花弁表皮細胞で強い発色が認められる(図3)。

5.

以上の結果から、本プロモーターは花弁で特異的に働くプロモーターであると考えられる。

[成果の活用面・留意点]

1.

形質転換による花色を含めた花弁の分子育種に利用できる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

キクのアントシアニン合成酵素遺伝子プロモーターの発現解析

予算区分:

県単

研究期間:

1995、2003年度(平成7、15年度)

研究担当者:

菅野善明、加藤直子

発表論文等:

1)菅野ら(1998)日本植物生理学会1998年度年会
2)Kanno et al.(1998)Plant Biology '98
3)菅野ら(2000)園学雑. 69(別1):355
4)菅野ら(2001)園学雑. 70(別2):193


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