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水稲防除体系における米の残留農薬は基準値以下で安全である

[要約]
現行の防除体系に沿った農薬使用における米の残留濃度は、出穂直前までの使用であれば概ね検出限界未満となる。また出穂期以降でも使用基準の範囲内で使用した場合の残留量は、最大で残留農薬基準の1/3程度である。
[キーワード]
  防除体系、米、農薬残留
[担当]岩手農研セ・生産環境部・環境保全研究室
[連絡先]電話0197-68-4422、電子メールc-suga@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害)
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
最近、無登録農薬の使用や農産物の農薬残留が大きな問題となり、農産物については農薬使用履歴が求められるような状況になるなど、食の安全性への関心が一層高まってきている。しかし、これまで生産者側から米の農薬残留実態についての説明は十分行っていない。そこで、東北地域の防除体系に沿って使用された主な農薬の残留傾向をとりまとめ提示する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 育苗箱施用の殺菌剤・殺虫剤(プロベナゾール、カルプロパミド、フィプロニル、イミダクロプリド)および、除草剤(メフェナセット、プレチラクロール)の残留は、検出限界未満である(表1表2)。
2. 水面施用の殺菌剤の玄米および白米の残留は、6月下旬施用のプロベナゾール、8月初旬施用のピロキロンとも検出限界未満である(表3)。
3. 出穂直前から使用する茎葉散布剤(いもち病防除剤:イソプロチオラン、フサライド、トリシクラゾール、カメムシ防除剤:MEP、BPMC)の残留は、散布時期が遅くなるにつれて残留濃度は高くなる傾向が認められるが、いずれも残留量は最大でも基準値の1/3程度で、基準値未満である。(表4
[成果の活用面・留意点]
 
1. 農薬残留に関する米の安全性の説明資料として活用できる。
2. 東北地域の代表的な農薬使用体系(図)に基づいた農薬使用における一般的な残留の傾向としてまとめたものである。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 農薬安全追跡調査
予算区分: 国庫補助(国・県)
研究期間: 1998〜2002年度
研究担当者: 築地邦晃、菅千穂子