農業環境技術研究所の職員、上垣隆一氏(受賞時の所属: 農業環境技術研究所 有機化学物質研究領域 主任研究員、現在の所属: 畜産草地研究所 機能性飼料研究チーム 主任研究員)は、2007年度日本草地学会研究奨励賞を受賞しました。日本草地学会研究奨励賞は、同学会の正会員で『将来の研究発展が期待される原則として37才以下の少壮徒に贈り、これを表彰する』 ものです。
さる3月24日から26日、麻布大学(神奈川県相模原市)で開催された同学会の大会において、授与式と受賞記念講演が行われました。受賞業績名と研究の内容は次のとおりです。
「飼料作物及びそのサイレージ発酵過程におけるダイオキシン類の動態」
上垣隆一
(農業環境技術研究所 有機化学物質研究領域 主任研究員)
研究の内容
飼料作物のダイオキシン類は根からの吸収や蓄積性はなく、大気ガス態のダイオキシン類の捕捉により蓄積するものであり、土壌中のダイオキシン類濃度・異性体が異なっても、生育する作物のダイオキシン類には影響を及ぼさないことを明らかにした。ダイオキシン類濃度が高いわが国の水田で飼料イネを栽培しても、他の作物と同等のダイオキシン類レベルになり、サイレージ発酵による低減化は困難であることを示した。これらの業績は、飼料作物のダイオキシン類濃度の低減に、大気からの汚染を防止することが最重要であると提言した。今後、化学物質の動態研究を通じて、安全・安心な飼料生産を追及する研究において発展が期待される。